いろいろな人のお力を借りて、作品展を開催することができました。
5歳児が描いた観音様のお姿は、モデルになって頂いた観音様の近くに全員の作品を並べて展示しました。そのまん中にいると、たくさんの観音様に囲まれ、見守られている気がするのが不思議です。子どもたちが描いたそのままで、作品というより観音様のお姿になっていらっしゃるように思えます。並べてみると、子どもたちが描いた観音様のお顔が、描いた子ども本人によく似ていることに気付きます。子どもたちの中にある菩薩様の心がお姿として顕現されたのかもしれないという気になります。
観音様のお姿を写しているときの子どもはとても集中しています。これほど集中できるものかと感心するくらいです。保護者に聞いた話ですが、観音様の絵を描いた日は疲れるのか、家では早く寝るそうです。そんな過程を知っているから、子どもたちの中の観音様が現れたように感じてしまうのでしょう。
ずらっと並んだ子どもたちの観音様をご覧になった保護者の皆様もしきりに感心されていました。「これを楽しみに作品展に来たんです。」とおっしゃってくださるおばあさまもいらっしゃいました。
3・4・5歳児の作った龍はといえば、園で完成させた龍を作品展前に会場まで運ばなくてはなりません。どうやって運ぶのかと思っていたら、頭を作っていた子どもたちが頭を持ち、その他の子どもたちは一列に並んで胴体を持ち上げ、おみこしのようにして運んでいました。私が園に向かって歩いているときにちょうど園から出発した龍の行列に出会いました。頭が少し離れて先行してはいましたが、龍が空を飛んでいるようでした。運んでいる子どもたちのとても楽しそうな、しかも壊しては大変という真剣な顔つきが印象的でした。
そうして運ばれた龍が飾られました。その近くには2歳児たちが泥で染めた布を使って作った洞穴があったり、0・1歳児が細く裂いたビーニールテープ(ビニール紐)を使って作った雲が置いてあり、まるで、龍が洞穴から飛び出し、雲を縫って天に昇ってゆくようです。0歳児から5歳児の子どもたちが作った昇龍を見ていて、職員も心と力を合わせてくれたのだと思うと、嬉しくなりました。
2・3歳児の作ったバスも、まわりに自分の顔や動物園の動物を描いて貼りつけ、動物園に行くときのわくわく感が再現されているようで、秋の遠足で動物園に行くのを楽しみにしていた子どもたちの顔を思い出しました。
ひとつの作品に子どもたち一人ひとりの気持ちが詰まっており、日々の生活が現れているのです。