昨日の未明にはとても強い風が吹いていて風音で目が覚めました。外は真っ暗で何も見えません。日の出時刻の6時46分までは3時間もあるのですから当然です。布団の中でヒュー・ピューという音を聞きながら、この強い風に色づいた木の葉は舞い飛んでいるのだろうと想像しました。孟浩然の「春暁」は花だけど、今はもみじだなどと思っているあいだに、また少し眠ってしまいました。明るくなって外に出てみると、地面に落ち葉が積もっています。昨日まで紅葉していた木も、ずいぶん葉を落としてすっかり冬支度です。それもそのはず、冬至まで21日なのですから。今年も最後の月になってしまいました。どんよりと曇った空から雨が落ちてくると、もう冬の景色です。
昼間も風が強く、飛ばされた枯れ葉が舞っています。園の前を歩いていると、数枚の葉をつけた小さな枝が、ヘリコプターのようにくるくると回りながら落ちてきます。拾ってみるとケヤキの小枝でした。葉の付け根にいくつか実がついています。前にも書きましたが、ケヤキは種を遠くまで飛ばすために、数枚の葉をつけた小枝ごと大きな枝から離れるようです。前からどんなふうに飛んでゆくのだろうと疑問に思っていましたが、くるくる回りながら滞空時間を長くして遠くにまで飛ぼうとしている様子を実際に見ることができ、1人で感激していました。
もみじなどが落葉するときは枝と葉の間に離層という水分や養分を通しにくい層ができます。離層の働きで葉に糖分などが残って赤や黄に色づき、やがてその部分から葉が離れてゆくと言われています。しかし、ケヤキには離層ができるという説とできないという説があってよくわかりません。断面はどうなっているのだろうと調べてみたくなり、実体顕微鏡を持ち出してきて次の3つを見ました。
- 手で折った小枝の断面(ケヤキ)
- 小枝が自然に枝から離れた部分(ケヤキ)
- もみじの葉の付け根
の3種類を見比べてみました。
手で折った小枝の断面と自然に枝から離れた部分では、明らかに形状が異なっています。手で折った方は、ただ折れていますが、自然に枝から離れた部分は、皮が外側にめくれ返ったように太くなり、中心部分とのあいだに少し隙間ができています。また、皮のあたりは断面が滑らかに見えます。ちなみに、もみじの葉の付け根は外側に反るように太くなり、断面は穴があいたようにへこんでいます。
詳しい説明はできませんが、自然に離れたケヤキの小枝の断面は、手で折ったものと形状が異なっていることがわかりました。(写真があるとわかりやすいのですが…ゴメンナサイ)
顕微鏡をのぞいていて、断面の形状だけではなく、少しだけ毛のようなものが生えている部分があったり、枝の芯部分の質感がフワフワやわらかそうにみえたり、そこに広がる世界の楽しさを再認識しました。園にも同じ実体顕微鏡が何台かあるので、子どもが体験する機会を増やしたいと思います。