仕方なく切ってしまわなくてはならなかったムクノキの幹、しばらくはそのまま園庭で遊具の一つになっていました。そして次には砂場の枠へと姿を変えて子どもたちを楽しませてくれることになりました。ムクノキもいろいろな役割を果たし、そのいのちを輝かせてくれたのではないかと思います。
そうなるまでには、いろいろな人が関わってくださいました。木を切ってくださった方、大工さん、お寺のみなさん。そうしてできあがった砂場の枠が、その役割存分に果たすために大きな力になってくださったのが、保護者のみなさんです。
せっかくできあがった枠をそのまま置いておいてもなんにもならないので、早く穴を掘る必要がありました。保護者と一緒になって作り上げたい!という思いが強くその機会を作ろうと考えました。保護者に来園願って作業をしていただくなら、お仕事が休みの方が多い日曜日ですが、候補となる日が少なく、卒園生が集まった同窓会の日の午後に行うことにしました。
急な依頼になったにもかかわらず、お父様方が何人かの方が集まってくださいました。案内文はお父様方に宛てたものでしたが、力仕事だからといって男性に限ることはないと思い「お母さんで参加していただける方はどうぞ」という一文を加えたら、参加してくださったお母様もいらっしゃいました。
いよいよ作業開始です。先ずはお父様方と男性職員、お手伝いをお願いしていたお寺の方で穴を掘ります。そのあいだ、お母様方、一緒に参加した園児たち、同窓会のあと園に残って遊んでいた小学生が枠に竹酢液を塗ります。園児達も喜んでやっていました。
20センチくらいの深さまでは砂なので、穴掘りは簡単に掘り進めることができましたが、そこから下は石混じりの土で、少し手強くなりました。何人かで同時に作業をするとなぜかペースが上がって疲れやすいので、交替で少しずつ行います。竹酢液を塗り終わったお母様もスコップを持って加わってくださいました。保育士も同窓会の片付けが終わった人から参加してくれました。みんなの力が合わさるというのはすごいものです。どんどん穴が深くなってゆきます。こうして50センチくらいの深さまで掘ることができました。水はけが良いように底に砂利を敷き詰めます。最後に枠を10センチほど埋め込むために所定の位置に置いたあと枠の下にある土を少しずつ堀り崩して枠を沈めます。水平になっているかどうか見ながら、少しずつ沈めて予定していた高さに落ち着きました。完成です。皆で汗を流した後はとても気持ちがよいものです。
片付け始める頃には辺りは薄暗くなっていました。砂場づくりに参加し力を貸してくださった保護者のみなさんありがとうございました。当日参加したくてもできなかった保護者もいらっしゃると思います。また次の機会や違う形で関わっていただければありがたいです。できる人が、できるときに、できるようにやる。無理をしない方が良いと思います。
ムクノキのいのちが輝くことをきっかけに、関わった人々のいのちも輝いたのではないでしょうか・・・