今年、スリランカから来日され、わたしたちにスリランカ舞踊を披露してくださった方々のほとんどは幼稚園の先生です。皆さんスリランカ日本教育文化センター(SNECC)の里親プログラムや奨学金制度で勉強して学校を卒業し、幼稚園で保育にあたっていらっしゃいます。ですから、今回の来日では訪問先各地の幼稚園での研修がたくさん組み込まれていました。当園にも保育見学などを通して研修をさせてほしいとの依頼があり、受け入れることにしました。
鞍馬でスリランカ舞踊を披露していただく機会は今まで何度もありましたが「保育」で繋がることはなかったので、どのように受け入れるかいろいろと考え、初日の午前中はスリランカ舞踊の披露、午後からは鞍馬山保育園の概要説明と園舎の見学。2日目は実際に子どもたちと活動していただくことにしました。
まず最初に鞍馬山保育園では何を目指して保育しているかを知っていただきたいと思い、
- 子どもが、自らの意思で自ら行動することを大切にしていること。
- そのために子どもが自ら環境に関わることができるように配慮していること。
- 子どもがお互いの違いをわかりあい、認め合い、みんなが楽しく生活できるよう考え行動するのを大切にしていること。
- なぜなら、将来子どもたちが大人になって社会を支えるときには、みんながお互いに認め合い、それぞれが自分を活かして得意なことで活躍することがみんなのよろこびに繋がる。そんな社会を築いてほしいと思っているからだということ。
などです。
実は、説明がどのくらい伝わるのか少し心配していました。ことばの壁ももちろんですが、スリランカで価値があるとされているところがわたしたちとは異なっているのではないかと想像していたからです。例えば、幼児期から知識をたくさん教え込むことが良いとされているとしたら、わたしたちの言うことはなかなかわかってもらえないのではないかといった心配です。ところが、当園の目指すところや理念を話すと、皆さんとてもよく理解していただいたようでした。とくに、SNECC事務局長のチャンダシリ師は「子どもが自ら育つことを大切にしたい」と考えていらっしゃるということがよくわかりました。1時間近くも話していましたが、私も保育観を共有できて、うれしく思いました。
その後、園舎を見学していただき、0歳1歳2歳の保育室、3歳4歳5歳の保育室をそれぞれの担当保育士が、「子どもたちが主体的に活動できるよう環境を工夫していること」「遊びが選択できる環境を用意していること」を実際の保育室で説明してくれました。細かなところまで配慮をしていて、私も知らないこともたくさんあって驚くとともに、保育士の工夫をもっと知っておく必要があると反省もしました。
見学を終えて、チャンダシリ師が「とても参考になった。今日の見学をヒントにわたしたち自身で工夫して、スリランカに適したことを考えてゆきたい。」とおっしゃっていたのが印象的でした。
チャンダシリ師の挨拶
スリランカ舞踊に見入る子どもたち