以前非常勤で勤務していた調理師さんが栽培活動についてこんなことを言っていました。
みんな、畑で作物を育てるが、収穫してそれで終わってしまうのは残念だ。種から植えたのなら、次に種が取れるまで子どもに見せてあげると、子どもがいのちのめぐりを感じられる。
もちろん野菜を収穫して食べることもとても良いことだと思いますし、事実子どもたちは、あまり好きではない野菜でも自分で育てたものだとおいしそうに食べます。子どもは野菜が育つことを経験できますし、興味を持ち手間暇かけて大切に育てたものはおいしく食べられるのです。食育という観点からも大切な取り組みです。
それに加えて、栽培活動を通して「いのち」がめぐっているということも感じてくれると良いと思っています。そのために畑で作物を育てることにしました。どうせやるなら、自然農法で栽培してみようと思い立ち、詳しい農家の方に指導していただいて始めて見ました。まずは冬になる前に、落ち葉と米糠を多めに畑にまいておきました。6月になってご指導いただいている農家の方にお願いして、苗を分けてもらって植えました。植えたのは、トマト、なす。とうもろこし、大豆で、どれも固定種とか原種といわれるものを農家の方が自然農法で大切に育てられたものです。それを持って来て、植え方をご指導くださいました。
なぜそんなことをするかというと、現在ホームセンターや園芸店で販売されている野菜の種は、F1(first filial 雑種第1代)品種といって交配して作られた種です。F1品種を植えて、そこから種をとることはほとんどできないそうです。つまり一代限りです。大きくて、味が良くて、収量が多くて、虫に強く、均質で、収穫後も日持ちが良いなど、製品として育てるのに都合の良い性質を良いとこ取りして作られた品種なのです。種を取りたいのですから、F1品種を植えるわけにはいきません。ですから、無理をお願いして、昔からある種類のものをいただいたのです。
まず、今年は種を取ることが目的です。うまく実って種が取れるのでしょうか。とても楽しみな反面、少し心配もしています。だって農家の方が苦労して育ててくださった苗をお嫁か里子にもらったみたいなものですから、しっかり育てないと親である農家の方に申し訳ないのです。