園長ブログ

どるぶつ

2012/11/29

表現することの楽しさをもっと大きくしたい、少し違った観点からいつもとは違う方法で、楽しんで表現する機会があるとおもしろいのではないか。保育士のそんな発想から、昨年も園にきていただいた、浦中こういちさん(こーちゃん)に園に来ていただきました。浦中こういちさんはフリーのイラストレーター/あそびうた作家として、作品の製作や個展、幼稚園、保育園、子育て支援でのイベントなどで活躍していらっしゃいます。

昨年は、まずこーちゃんのライブではじまり、みんなで歌ったり身体を動かしたりして遊んでから、後半は5歳児だけが新聞紙に好きに描くということを楽しみました。今年は子どもたちがそれぞれに思い思いの「どるぶつ」をつくるというのがテーマです。「どるぶつ」ってなに?と思いますよね。子どもたちが想像力を思う存分発揮して、どこにもいない動物をつくるのです。いきなりどこにもいない動物といってもむずかしいので、こーちゃんがいろいろな動物を組み合わせても良いよ!とヒントを出してくれました。

こーちゃんの説明を聞いた子どもたちは早速作り始めました。ダンボールカッターでダンボールを切ったり、ラップの芯や箱、ストロー、毛糸、そのほか様々な材料を組み合わせたり、絵の具で色をつけたり、みんな思い思いのどるぶつを作ってゆきます。

そんな中、絵を描くことや何かを作ることに少し苦手意識を持っている子が、友達はどんどん作ってゆくけど自分はなかなかできないし、どうして良いかわからなくなったのでしょう。もうやりたくないと言った意味のことをこーちゃんに訴えかけていました。

そこで、こーちゃんはその子を励ましながらその子に寄り添い、どんな「どるぶつ」を作りたいかというその子の気持ちを引き出し、その子がイメージを具体的にする手助けと、出てきたイメージを形にすることを手伝ってくださいました。自分のイメージが形になって見えてきて、これならできるかもしれないと思ったのか、それまで曇っていたその子の顔が、ぱーと明るくなりました。その後は困ったときには助けを求めつつも、少しずつ自分で作り始めたのです。

少し離れたところで自分のどるぶつを作りながら、耳と目だけはこーちゃんと子どもの様子が気になってしょうがなかった私の心ははとても温かいうれしさで満たされました。

「自分を自由に表現すればいい。」そんなみんなの想いをこーちゃんが伝えてくれたことで、その子の心が開かれたのだと思います。

楽しいから 表したい!

2012/11/28

心が動くからこそ、表現したい何かが生まれます。特に子どもは、わくわくするような楽しいことが表したい!伝えたい!に結びつくような気がします。そして、それをどうして表そうかと一生懸命取り組むことがまた楽しみや充実感につながるのだと思います。上手に描けたとかいう問題ではありません。結果だけを評価してしまうと、それを気にして「うまく描けないから描かない」となってしまいます。無理に描かせても嫌になるだけではないのでしょうか。

保育所保育指針第3章 保育の内容 1.保育のねらい及び内容 (2)教育に関わるねらい及び内容の「表現」に関する内容(子どもが経験すること)には次のような項目があげられています。

(イ)内容
①水、砂、土、紙、粘土など様々な素材に触れて楽しむ。
②保育士等と一緒に歌ったり、手遊びをしたり、リズムに合わせて体を動かしたりして遊ぶ。
③生活の中で様々な音、色、形、手触り、動き、味、香りなどに気付いたり、感じたりして楽しむ。
④生活の中で様々な出来事に触れ、イメージを豊かにする。
⑤様々な出来事の中で、感動したことを伝え合う楽しさを味わう。
⑥感じたこと、考えたことなどを音や動きなどで表現したり、自由にかいたり、つくったりする。
⑦いろいろな素材や用具に親しみ、工夫して遊ぶ。
⑧ 音楽に親しみ、歌を歌ったり、簡単なリズム楽器を使ったりする楽しさを味わう。
⑨ かいたり、つくったりすることを楽しみ、それを遊びに使ったり、飾ったりする。
⑩ 自分のイメージを動きや言葉などで表現したり、演じて遊んだりする楽しさを味わう。

「楽しむ」や「楽しさを味わう」という語がいかに多いことでしょう。子どもが自発的主体的に楽しんで取り組むことの大切さがよくわかります。わくわくしながら取り組んだ経験、おもしろくて一生懸命にやったこと、そんなうれしさで心が満たされてはじめてそのうれしさがあふれ出て表現されるのでしょう。物語の登場人物になったり、へとへとになるまで思いっきり遊んだり、子どもたちが心ゆくまでわくわく体験ができるように、環境を整えたいものです。

表現

2012/11/27

急に冬がやってきて、寒くなりました。さすがに鞍馬では雪は降りませんでしたが、少し北に行った花脊と峠や佐々里峠ではうっすらと雪化粧したという記事が新聞の夕刊にありました。いよいよ雪の季節です。

保育所保育指針の第1章総則 3.保育の原理 (1)保育の目標のなかのひとつに (カ)様々な体験を通して、豊かな感性や表現力を育み、創造性の芽生えを培うこと。 とあります。豊かな感性や表現力は、様々な体験を通してはじめて育まれます。まずは子どもたちが様々な体験ができる環境をどう構成するのか、ドキドキわくわくしながら関わりたくなる環境がどうすれば用意できるのかを考えることが必要なのだと思います。

そして、保育所保育指針第3章保育の内容の 1.保育のねらい及び内容が
(1)養護に関わるねらい及び内容 と
(2)教育に関わるねらい及び内容
の2つに分かれていて、(2)教育に関わるねらい及び内容が
(ア)健康
(イ)人間関係
(ウ)環境
(エ)言葉
(オ)表現
5つの項目で表されています。いわゆる5領域です。「教育に関する内容」とあるので、学校でいう「国語」「算数」などのように「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」という教科を教えなくてはならないように感じてしまうかもしれませんが、そうではなくて子どもの発達を見るための5つの視点です。指針の解説では子どもの発達をとらえる「窓口」という言葉が使われています。子どもたちの活動には、5領域全てにわたる要素が含まれているのです。

子どもたちが、絵を描いたり何かを作ったり、歌を歌ったりすることを「表現」という切り口から見てみようと思います。

「表現」にはこう書かれています。

感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を豊かにする。

そして、その「ねらい」には

(ア)ねらい
① いろいろな物の美しさなどに対する豊かな感性を持つ。
② 感じたことや考えたことを自分なりに表現して楽しむ。
③ 生活の中でイメージを豊かにし、様々な表現を楽しむ。

とあります。

子どもが様々な環境に関わる中で出会う不思議や驚き、気づきなどに感動することで豊かな感性を育み、その豊かな感性で環境に関わるからこそ心が動かされます。そして、それを誰かに伝えたいという気持ちが生まれる。嬉しい気持ちが歌となって溢れる。身体をゆらして踊りたくなる。心に満ちあふれる何かがあるからこそ、それを様々な方法で表現したくなるのです。

ねらいには「感性を持つ」「楽しむ」と謳われています。この「楽しむ」「楽しく取り組む」ことがあるからこそ子どもの「表現したくなる」が素直に現れるのです。このことが大切なのではないでしょうか。

「楽しむ」ためには一斉に絵を描かせるだけではない、他の方法も取り入れてみる必要がありそうです。

表すこと

2012/11/26

子どもたちは、絵を描いたり、何かを作ったりするのが大好きです。いろいろなものを作ったり表現して楽しんでいます。心で描いたイメージを形や音にしたいのです。「やってみたい」と思ってやっている子どもはとても集中し、全身全霊をかたむけて取り組んでいます。自分のイメージがどうすれば形になるか、表現できるか試行錯誤しながら挑戦している子どもの顔はとてもステキです。でも、全ての子が同じ時間に同じように絵を描きたいとは限りませんし、何かを作りたいと思っているわけではありません。

ところが大人は、例えばクラスという大人が勝手に決めた集団ごとに一斉に子どもに何かをさせようとしてしまいがちです。「ああしなさい。こうしなさい」と指示を出して大人の思うように子どもを動かしてなにかをさせようとしてしまいます。

そうして、一斉に何かをさせることで、無理にやらされる子が出てきてしまうのです。そんなことが度重なると、絵を描くこと、なにかを作ること、歌を歌うことが嫌いになってしまうかもしれません。子どもひとり一人の何が育って欲しいと願ってそのことをするのか、いつもその原点に戻って保育を考える必要があると思います。

大人の思ったように、何かをさせるのは専門性ではありません。「やりなさい」といってやらせるのであれば誰にでもできてしまいます。ひとり一人の育ちを理解した上で、子どもが「表現したい」と思えるような環境をいかに設定するかが専門性なのだと思います。

食べることを例に出すとわかりやすいと思います。にんじんの嫌いな子がいます。大人が好き嫌いをなくそうと意気込んで、無理矢理にでも食べさせれば子どもは食べます。しかし、それでは「にんじんっておいしい」という味覚が育たないだけではなく、にんじんがもっと嫌いにしてしまうかもしれません。そして「食べなさい」と言われなくなったら、強制されなくなったら食べなくなります。

それよりも周りの人が「おいしい、おいしい」といっておいしそうに食べる方が、「もしかしておいしいのかな?」「食べてみようかな?」という気になって自ら食べ始めます。そうして自ら食べようと思って食べた方が、大きくなってからも食べられるようになるのです。

今、無理矢理子どもの口に詰め込みたいのでしょうか?それとも、将来「にんじんっておいしいな」と思って食べられる子に育って欲しいのでしょうか?

何がしたいのか?原理原則に照らして、よくよく考える必要があると思います。絵を描いたり、何かを作ったり、歌を歌ったり楽器を演奏したりすることだって同じなのではないでしょうか。

卒園生

2012/11/25

今年も卒園生の交流イベントを行いました。小学校1年生から、中学校2年生までの卒園児に案内を出したら、60名ほどの子どもたちが参加してくれました。中学生も部活や試験前の忙しいなか参加してくれた子もいます。久しぶりに会う子どもたちは、当然ですがみんな大きくなっています。園舎の中に入ってきて「小さい!」と言っている子がいました。本人が大きくなっているので、園児の時に見ていた保育室とはイメージが違うのです。

子どもたちが集まったら、保育園時代を思い出して、みんなでお参りをしてからそれぞれ、自己紹介し、学年別に3グループに分かれて手押し相撲大会が始まりました。当初は室内で行う予定でしたが、今日はとても良い天気だったので、急遽園庭で行うことに。グループごとに大盛り上がりで楽しみました。

子どもたちが楽しんでいる様子を園舎の2階から眺めていたら、なんだか心がとても温かくなってきました。ひとり一人の子どもたちが、それぞれをまるごと認められ、そして他の人も認め、互いに助け合うように育ってくれますように。と思わずにはいられませんでした。

子どもたちを見ていると、3年生・4年生というのはひとつの節目のように思えます。4年生くらいになると体格も大きくなりますし、外見や雰囲気もかわります。3年生というと8歳から9歳の子どもたちです。一般的に8歳くらいまでの発達のすがたがあり、9歳・10歳くらいに節目が来ると言われているようです。4年生の子どもたちの姿を眺めていてそんな話しを思い出しました。ですから、8歳くらいまでとそれ以降では教育方法は異なるべきだという説もあるようです。

日本では6歳になると、ひとり一人の発達の違いに関わりなく、一律に小学校に上がり初等教育をうける仕組みになっていますし、それが当たり前だと思っている私たちには何の違和感もありませんが、世界には小学校に入学する時期を保護者と、教育関係者が相談して決める国が多く存在するようです。また、小学校でいわゆる留年をする子もたくさんいるそうです。その子がその子に適した教育をうけることができるシステムになっているのです。

このイベントは、しばらく会っていない懐かしい保護者に合えることも楽しみのひとつで、みんなで話が弾みます。また、現役の全職員と以前勤めていた保育士が参加してくれました。日曜日返上で参加してくれる職員たちの前向きな気持ちをとても嬉しく思ったのと同時に、わざわざ参加してくれた元職員にもありがとうと言いたいと思います。

  集まってくれた卒園生たち

種蒔きをしました

2012/11/24

まだ青かった黒豆を残して他の作物を収穫した畑に、ほうれんそうと小麦の種を蒔いたことをお知らせしました。

畑のスペースは空いているので、ご指導いただいている農家の方に相談してえんどうまめを育てることにしました。一般的に寒冷地でも温暖地でもない中間地でのえんどう豆の種の蒔き時は10月中旬から11月上旬ぐらいだと言われているので、それと比べても少し遅かったかもしれません。まして、鞍馬はかなり寒いので、ちゃんと発芽するのかどうか少し心配です。それでも、やってみないことにはわかりません。農家の方から、自家採種の種を分けていただき、教えていただいたように種を蒔くことにしました。

小麦とほうれんそうの時のように、地面に生えている草を少し取り除き、種が置きやすいように鍬で地面を撫でるようにして平らにしてから、3粒くらいを約50センチ間隔で蒔いてゆきます。後は薄く土をかけて、先ほど取り除いた草をかけておくだけです。これが正解なのかどうかはよくわかりませんが、種蒔きはできました。

実は、えんどう豆と一緒に農家の方がにんじんの種も送ってくださいました。にんじんの種を見るのは初めてだったので、その小ささに驚きました。にんじんの蒔き時は春先のように思いましたが、せっかく送っていただいたし種も大量にあるし、少し蒔いてみようか思って蒔いてしまいました。

あとで、農家の方に確かめたら、やはり種を蒔くのは3月頃が良いそうです。どうなるのかなと思いますが、にんじんの発芽に適した温度は20度くらいだそうなので、発芽はしないかもしれません。もし発芽しても、とても時間がかかってしまい、発育するには気温が低すぎるのでしょうね。

そんなことをしながら、小麦とほうれんそうを植えたところを見てみたら、なんと、両方とも小さな芽がたくさん出ていました。思わず嬉しくなってしまいました。それにしても、ついこの間植えたばかりなのに、こんなに早く元気に芽が出るとは思ってもいませんでしたので、嬉しいのと同時に種の力を見せていただきました。

さる 来る

2012/11/23

前にも書きましたが、このところ園の周りに頻繁に猿が出没しています。これまでなら、猿は人間を警戒して容易には近づいてきませんでした。子どもたちが園庭で遊んでいたら、遠くから見ているだけで近寄ってくることはありませんでしたし、園庭入って来ていても誰かが外に出てゆくと逃げるなど、猿が自ら人間とのある程度の距離を保っていました。

ところが、今回は少し様子が違います。猿の方から人間に近づいてくるのです。子どもたちが園庭で遊んでいると、近づいてくるので子どもたちの方が園舎に入っています。窓越しに見ていたら、窓ガラスにくっついてきたりもします。

何よりも子どもがけがをすることがあっては大変なので、園内での安全確保には細心の注意を払っています。しかし、子どもたちが登降園する時にも近づいたりしているので、ちょっと困ったものです。保護者の車の上に乗ったり、ミラーを鉄棒代わりに遊んだりもしています。

一日だけのことであれば、さほど気にしなくて済むのですが、何日にもわたると、やはり困ります。区役所に相談したら、爆竹で追い払うくらいしかないと、爆竹を少しわけていただきましたが、あまり効き目はなさそうです。お寺にお参りされる方がたくさんいらっしゃるところで、頻繁に大きな音を出すのもむずかしいかもしれません。

よく見ていると、もしかすると以前人間に飼育されていたのではないかと思われるところもあります。何の警戒心もなく近寄ってきては、人の目の前で前転したり、足にじゃれついてきます。かわいらしいものなのですが、いつ噛みついたり、ひっかいたりするかわかりません。

以前のように猿の方から適度に距離を置いてくれていると良いのですが・・・どうすれば良いか苦慮しています。まさか捕まえて飼うわけにも行きません。かといっていつも追いはらっていては、子どもが「さるは追いはらうもの」と思ってしまっても困ります。

何か良い方法はないものでしょうか?

手で見る

2012/11/22

ジンベエザメの作者、直江さんのレゴブロックモデル製作の特徴に撫でるということがあるそうです。ある程度形ができてきたら、目で見て確かめるだけではなく触って確かめていらっしゃるようです。

ブロックの直線的に角張った形状はどこまで行っても角張っています。一昔いや20〜30年前のワープロの文字みたいなものです。(かえってわかりにくい例えですね)いわばデジタルな形状です。そのブロックの角と角とをつなぐ見えない線は、目で見ているだけでは見えないのかもしれません。目で見るだけではなく、触ることではじめてその見えない線が見えるというか感じることができるのではないでしょうか。

直江さんは製作に入る前には、対象をしっかりと細部まで目を使って見ることによってイメージを頭の中で醸成し、そしてそのイメージという設計図に基づいて製作する。そして、ある程度形ができたところで、できたものがイメージ通りかどうかを確認する。その確認作業には視覚だけではなく、触覚もフルに使ってゆくということ、手を使って見ることを行っていらっしゃるのだと思います。

前にも書きましたが、晴眼者では日常生活の中のうち83パーセントを視覚情報が占めているそうです。圧倒的に視覚優位です。ところが、日本赤ちゃん学会理事長の小西行郎氏は、胎児は受精後8週から既に自発的に動きはじめており、16〜17週には触覚を頼りに動き回っている。動くことは触覚を通して自分の身体を認知してゆく事なのではないかとおっしゃっていました。触覚は最も早く発達する感覚なのです。

そんなはなしを聞いて、乳幼児期に視覚以外の感覚、特に触覚をもっと使う機会があった方が良いのではないかと思っていたからか、直江さんがレゴブロックモデルを撫でて確認するっと言うナレーションが、より大きく耳に飛び込んできました。

他にもたくさんの海の生き物がいました

選ぶ、決める

2012/11/21

体長4メートル、レゴブロック10万ピースを使って作られたジンベエザメ。作者はレゴモデルビルダーの直江和由さん。ジンベエザメができる様子を撮影した映像が会場で放映されていました。

設計図を書かずに作り上げる直江さん独特の作り方を支えているのは、対象をじっくりと見つめるという過程であるということを紹介しました。

ジンベエザメの滑らかさを表現するために、身体にある白い模様の付け方を工夫するなど、細かな部分まで配慮されているのだそうです。私が気になっていたジンベエザメの自重を支えるための構造については直江さんご自身のブログに記されていました。通常のブロックより大きなブロックを使うだそうです。ブロックそのものも強度が高いし、結合もしっかりできるメリットがあり、また大きなブロックは組み立てるのが早いという利点もあるようです。

映像を見ていて驚いたのは、途中で方針転換をして、全て作り直したとおっしゃっていた部分です。どこかがイメージと異なったり、背中のラインが思うように表現できないなど様々な理由があるのだとは思いますが、思い切った勇気のいる決断です。だってそこまでやってきたものを壊して、また1からやり直すのですから。

何かを決めること選ぶことは勇気のいることです。その決断に責任を持って実行してゆく覚悟がいります。選んだのなら、選んだものに向かってまっしぐらに全力を尽くせ。そう言われているようでした。

子どもたちにも選ぶチャンスと、選んだことを責任を持ってやり遂げてゆく勇気を学んで欲しいと思いました。

ジンベエザメ

2012/11/20

京都駅ビル15周年の記念企画でレゴブロック展示、体験イベントが行われていて、レゴブロック京都駅ビルモデルを見たくて京都駅ビルまで行きました。

駅ビルモデルを見ていたら、別の会場にレゴブロックで作った水族館があるというインフォメーションがあったので、せっかくだから見に行きました。会場に一歩足を踏み入れた途端、目に飛び込んできたのがレゴブロックでできた全長4メートルほどの巨大なジンベエザメでした。

まず、思ったのが、どうやって自重を支えているのだろうということです。なんてロマンがないのでしょう。でもそれくらい大きく、質感に溢れているのです。使ったブロックの数は10万ピース、駅ビルモデルよりは少ないのですが、人工物ではなく、生き物の曲線を直線的なブロックを使ってうまく表現してあります。

このジンベエザメを作ったのは、直江 和由(なおえ かずよし)さん。直江さんはイベントなどに展示するためのモデルを制作するレゴジャパン唯一のレゴモデルビルダーです。

会場でこのジンベエザメを作る過程を収録した映像が流されていたので、見入ってしまいました。驚いたのは、「設計図は全て直江さんの頭の中にある。」という説明でした。もちろんラフなスケッチや実物大の簡単な絵は描いていらっしゃいましたが、設計図というものではありませんでした。解説で直江さんは「資料を長い時間かけて見る」とおっしゃっていました。つまり、対象まで詳しくしっかりと見つめるということです。しっかりと見つめることで全体から細部までのイメージを頭の中で作り上げてゆかれるのだと思います。

ジンベエザメなど動きのあるものはその動き方も含めてじっくりと見て、対象物が持っている見えない姿や性質をとらえ、イメージ化するということなのだと思います。当然ですが形態と機能は密接につながっています。ジンベエザメが泳ぐ姿をじっくりと見るからこそ、イメージもできあがり、形に結びつくのだと思います。そのものの本質をとらえようとするということなのかもしれません。

保育でもしっかりと見ることが必要です。今、目の前のこの子はどうなのか?何を必要としているのか、いないのか?ひとり一人の側に寄り添って、その子のことを見て、観て理解しようとする心構えがなくては、観えるはずがありません。直江さんは建築物のモデルなども多く手がけていらっしゃいますが、「じっくりと見ているうちに、その建物を作った人の気持ちがわかるようになる。」とおっしゃっていました。

心を尽くして観ることの大切さを思い直しました。

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