園長ブログ

お別れ遠足 3

2013/03/09

琵琶湖博物館では、まず、「かわいいモンスター」〜ミクロの世界の新発見〜という企画展示を見ました。例年は最初にディスカバリールームという体験型展示の部屋に行くのですが、「小さなモンスター」というコピーに惹かれたのか、子どもたちの足は企画展示室に向いていました。琵琶湖博物館の研究により、琵琶湖や滋賀県から発見されたカイミジンコやヨコエビ、イタチムシなど小さな生き物の新種や新記録について紹介する展示です。子どもたちは小さな生き物のめずらしい姿に興味を持って見ていましたし、身近なところで、多くの新種が発見されていることに私自身、驚き、興味を持ちました、

続いて訪れたのがディスカバリールーム。展示を子どもたちが体験することで学ぶことができるようになっています。ディスカバリールームの解説にはこんなことが書いてあります。「展示には文字による解説がほとんどなく、スタッフも展示の内容についての説明はしていません。 あくまでも、子どもたちがみずから好奇心をもって、自主的に何かを発見することが、この展示室の最大の目的なのです。」
例年子どもたちに人気なのは、昔の台所を体験できる「おばあちゃんの台所」でままごと遊びをすることが多いのですが、今年の子どもたちはあまりそこには興味を示さず、「にんぎょうげきじょう」で人形劇を演じていました。発表会で発表した「さるかに合戦」を何度も見せてくれました。

まだまだ遊び足りない様子の子どもたちに、声をかけて水族展示室へ。琵琶湖固有種をはじめとした淡水に住む魚や他の生き物に会いに行きました。オオサンショウウオをみつけたり、カイツブリが潜水して餌を取るようすなどを興味深く見ていましたが、やはり身体の大きなチョウザメが泳ぐ姿は圧倒的におもしろかったようです。

琵琶湖博物館 2

2013/03/08

琵琶湖博物館に到着したみんなは、駐車場から博物館に向かう道のところどころにあるクイズを見つけて一つずつ解きながら進んでいきました。文字を読むのが得意な子が、問題を読み上げ、みんなで4択の答えから正解だと思うものを一つ選んでいました。

例えば、
「1896年の琵琶湖大水害で、琵琶湖の水位は何メートル上がったでしょう」
①1メートル、②2メートル、③3メートル、④4メートル

といった問題です。答えを選んで、次の問題の所まで行くとそこに正解が書いてあり、また次の問題に挑戦します。

琵琶湖博物館には毎年お別れ遠足で行っているので、毎年みんな挑戦していますが、いくらふりがながふってあるといっても、読みにくい上に問題の内容も難しいので、1問か2問であきらめることが多いのです。ところが、今年の子どもたちは最後まで挑戦していました。文字を読むのが得意な子が、読んでみんなで、あーでもないこーでもないと話し合って考える。うまくチームワークを発揮しているように思いました。

博物館の入口近くにあった問題は、
「博物館に入った正面にあるガラスの向こうに見える山の名前は何」
でした。

入館した子どもたちは真っ先に大きなガラスを通して琵琶湖越しに山を見ながら、「雪が積もってるなー?」「なんていう山かな?」と考えます。すぐに答えは見つからなかったので、館内を巡りながら答えを探すことにしました。

一日楽しく遊んで帰ろうかとしたとき、一人の子どもが「山の名前がわかってない」と言いだし、答えを探しましたが見つかりません。そんなときに「係の人に尋ねよう」と誰かが言い出し、「比良山」という答えをいただいてきました。最後まで問題のことを覚えていたことに感心しましたし、問題はどうすれば解けるのかをみんなで考えて、「係の人に聞きに行く」という方法を見つけ出して実行した子どもたちでした。

お別れ遠足 1

2013/03/07

急にポカポカ陽気になりました。3月5日から二十四節季の啓蟄、冬ごもりしていた虫が春の暖かさを感じて外に這い出てくるころのことです。3月6日の京都の最高気温は16.1度、7日は19.9度。まさに土の中の虫たちが這い出してきそうです。このままずっと暖かいわけではないと思いますが、こんなに暖かくなると桜が咲くのも早いかもしれません。

卒園を間近に控えた5歳児たちは、小学校へ行くうれしさと不安で胸がいっぱいなのか、落ち着かないところもありますが、それぞれに残り少なくなった園生活を楽しんでいるようです。そんな子どもたちの思い出の一コマになればと思い、毎年この時期にお別れ遠足を行っています。今年も滋賀県立琵琶湖博物館を訪れました。

琵琶湖博物館は、400万年も遡ることのできる琵琶湖の成り立ち、そこで独自の進化を遂げてきた生き物たち、そしてそこに人間が作り上げてきた文化といった様々な視点から琵琶湖を捉えることにより、「湖と人間のより良い共存関係をめざすための入口」としての役割を果たしています。

展示室は、ほとんどの琵琶湖固有種を中心に国内外の淡水魚が多く飼育されている「水族展示室」をはじめ、「琵琶湖のおいたち」「人と琵琶湖の歴史」「湖の環境と人々のくらし」をテーマにした各展示室、体験活動を通して子どもたちが学ぶことのできる「ディスカバリールーム」など多彩な展示があり、見応え十分です。

子どもたちにとっては普段の生活とは少し違う環境ですが、普段はあまり接することがない琵琶湖という水環境とそれをとりまく自然や生活、文化に触れることで山や川などの自然について何かを思うきっかけになればと考えて、毎年この時期に訪れています。

茶道教室 2

2013/03/06

茶道教室で濃茶を体験した子どもたちは、どう感じたのでしょうか。子どもたちの入った小間に隣接する広間では保護者や地域の方が濃茶を召し上がっていました。茶道の経験者が未経験の方に、様々な作法やその意味など詳しく説明してくださって、みんなうなずきながら聞いていらっしゃいました。皆さんは濃茶をおいしく感じていただいたでしょうか。

濃茶を体験したあとは、広い部屋に移動して、薄茶を点てていただきました。経験のある方が、子どもたちや初めての方に教えながら、お互いに薄茶を点てあって召し上がっていました。はじめての方には、お茶をふわっと泡立てるのは難しいようで、特に子どもたちは苦労していたようです。

そんな中、茶道の先生が点ててくださった薄茶を一口召し上がった保護者の顔が急にステキな笑顔になって、「うぁ!生クリーム!?」とおっしゃっていました。きめ細かに泡だったお茶の柔らかさと、甘さ、香りがそう感じさせたのかもしれません。

みんなで、和やかな楽しい時間を過ごすことができました。後日、茶道教室に参加した小学生のおばあさまにお目にかかった際にこんなことをおっしゃっていました。「茶道教室に参加した孫が、あれから毎日、家でお茶を点てて飲んでいるです。」

茶道教室 1

2013/03/05

今年も鞍馬小学校学校運営協議会の茶道教室が行われました。鞍馬小学校の子どもたちに当園の学童保育に来ている子を加えた小学生と保護者の皆様、地域の皆様、小学校の先生などみんなで25名ほどの方々が集まってくださいました。

前席でお白湯をいただいてから、1人ずつ蹲踞を使って席入りです。蹲踞の使い方は地域の方が子どもたちひとり一人に丁寧に教えてくださいました。炉が切ってある四畳半の小間には子どもたち、隣接する広間には大人の皆様に入っていただき、みんなでお濃茶を体験してみました。初めての子にとっては、狭い部屋にみんなで入って、これから何が起こるのだろうと思っているかのような緊張が感じられます。

釜に意匠として松竹梅があしらわれているのですが、それを子どもたちに探してもらって緊張をほぐしました。胴に模様として入ってる梅と竹はすぐに見つかるのですが、松を見つけるのはむずかしいかもしれないと思っていたのですが、鐶付にあしらわれた松かさを意外と早く見つけてくれました。

先生にお点前をお願いして、濃茶を練っていただきましたが、お点前のひとつひとつをとても不思議そうに、また興味深そうに見ている子どもたちの顔には真剣でした。

お点前が進み、お濃茶が練り上がったら、いよいよいただきます。お茶碗の底にたまるどろっとした緑色の液体に衝撃を受けていたようです。どうぞといわれて、おそるおそるお茶碗を口元に運ぶ高学年の男の子、飲めるだけで良いから飲んでみれば。とすすめられて一口含んだあと、何とも言えない顔をしていました。となりの客へとお茶碗をまわして飲んでゆくのですが、どの子も一様に何とも言えない顔をしていました。それでも、子どもたちが飲みやすいよう、おいしいお茶を使い、かなり薄めに練っていただいたのです。

そんな子どもたちの顔を見ていたら、濃茶はちょっとやめておいた方が良かったのかなという気になりました。でも、それも経験です。ほとんどの子が変な味だと思っても、もしかしたら1人くらいは、結構飲めるかもしれないと思っている子がいるかもしれません。いろいろな経験をしてくれれば良いと思います。

変化 5

2013/03/04

鹿などの野生動物が増えたことで、マダニが増えてきたことを書きました。以前は子どもと草むらをかき分けて道なき道を進んだり、山に登ったり、斜面を滑ったりして遊んでいました。最近はマダニやヒルにくっつかれるので、肌の露出の少ない長袖、長ズボンを着て靴下の中にズボンの裾を入れるなどの対策をしています。今回、マダニが媒介する感染症、SFTSで亡くなった方があったことが確認され、散歩や山登りの方法を考え直した方が良いと思っています。

実際の所は、SFTSが急に拡大したのではなく、原因のわからなかったものが、わかるようになったということなのですが、やはり気をつけなくてはなりません。全く外に出なければ被害を防ぐことはできますが、全く現実的ではありません。

以前、マダニなど気にすることもなく遊ぶことができていた頃と比べると、散歩の環境はずいぶん変わりました。いろいろなことが変化します。その変化にどう対応するのか、よく考えた方が良さそうです。何を変えるべきなのか、何は変えてはいけないのか。見つめる必要があります。

最も大切なのは、子どもにとってどうなのか?子どもの発達にとってどうなのかという視点です。野山で遊ぶことは、身近な自然に興味を示し積極的に関わろうとする子どもの興味関心を満たす環境を構成すること、体力をつけることをはじめ様々な子どもの発達を促します。しかし、それらの発達の機会は他の方法を用いて提供できる事もあります。自然と関わることは自然環境が豊かな場所でしかできないわけではありません。都会の真ん中の保育園でも保育者の工夫次第でできる事はたくさんあります。逆に自然が豊かでもそれを活かす工夫をしなくてはその価値は半減します。
幼稚園教育要領解説には「幼児をただ遊ばせているだけでは,幼児の主体的な活動を促すことにはならない。」とあります。

子どもの発達という視点を忘れず、子どもが遂げたい発達を思う存分遂げられるよう、心を運び、工夫して環境を構成することが大切です。

変化 4

2013/03/04

鹿が原因で起こることは、山の緑の減少だけにとどまりません。困ったものも運んできます。その一つが「マダニ」です。

最近よく「マダニ」の媒介するウィルスについて報道されています。報道によると今までに5名の方が重症熱性血小板減少症候群(SFTS)という病気で亡くなった事がわかりました。SFTSは2009年に中国で集団発生が報告され、2011年に原因となるウイルスが特定されました。日本では2013年1月にSFTSに感染して亡くなった方が初めて確認され、その後、同様の症例がないか厚生労働省が都道府県に報告を求めていたそうです。今まで見過ごされていた症例が注目されるようになったため急に症例が増加したように思うのかもしれません。
このSFTSの原因ウィルスがマダニの一種から見つかったため、マダニが媒介すると考えられているようです。
ただ、マダニにがついたから必ずSFTSに感染するわけでもありませんし、マダニが媒介する感染症は他にもあります。


鹿が増えると、鹿につくマダニも増えるのは当然のことです。ダニだけではなくヒルも増えました。以前は山の中に入ってもダニやヒルがつくことは滅多になかったのですが、近年は特に増えています。私自身山の中でダニやヒルに好かれ、何度もくっつかれました。

現在、当園で取っている対策は山に入るときは肌の露出が少ない長袖長ズボンを着用し、ズボンの裾は靴下の中に入れる。山に分け入るような散歩から帰ったときは、ダニなどがついていないか注意して、全身を注意してチェックすることです。

子どもたちが草をかき分けて進むようなところには近づかない方が良いのかもしれません。子どもたちの大好きな散歩の一つだけにとても残念です。

子どもたちが外で遊ぶ、その遊び方まで変化してきました。私たちはどう対処すれば良いのか、よく考える必要がありそうです。

変化 3

2013/03/02

鹿が増えた原因は、天敵であるオオカミの絶滅、狩猟する人の減少、温暖化による積雪の減少などと言われています。様々な原因が複雑に絡み合って、様々な結果を生み、それがまた原因となって、次の結果を招く。そうしていろいろなことがつながっているはずです。

ところが、増えたから捕獲して減らせば良いと言う人がいます。確かにそれも必要なことではありますが、それだけですむほど単純なことではないと思います。現在の鹿の増加も、ともすると様々な人間の営みがその原因であることが多いのではないでしょうか。オオカミを絶滅させたことや、自然林を大規模に伐採し、商品価値が高いと思われた針葉樹ばかりをたくさん植林したことも関係しているかもしれません。

もちろん、全てのつながりが見えるわけでも、わかるわけではありません。だからこそ、最も大切にすべきことは何か?を心にとめておくことは忘れないようにしたいものです。

ついつい、目の前に迫ってくる問題だけを見て、それを何とかしようとしてしまいがちですが、深く、大きく、複雑なつながりに思いを馳せることなく、目に見える現象だけにとらわれる事には気をつけた方が良さそうです。このことは、何も自然現象に限ったことではありません。日々私たちの行うことについても、目の前で起こることだけを見るのではなく、何を目指し、どこを向いているのか、なんのためにそうするのか、遠いところを見つめる事を忘れずにいたいものです。しっかりとした基準を持ち、それに照らしてさまざまなことを考え判断する。それが、変化に対応するためにもっとも必要なことなのかもしれません。

変化 2

2013/03/01

変化は様々なところで起こっています。というより、変わらないものはなにひとつとしてありません。全てのものが移ろい変化してゆきます。

家庭や家族の姿が変わってきて、お母さんがひとりで子育てを担うことが多くなってきています。それが常態化しているのは、もはや家庭とは呼べないかもしれません。

インターネットの普及により、情報の流れ方が大きく変わり、物品の売買や、サービスのあり方も変化しました。携帯電話やスマートフォンが普及し、コミュニケーションのあり方も変わってきました。

人間社会の変化はとてつもなく早く、急激です。これほど急激に環境が変化することは人類史上はじめてだということも聞いたことがあります。

変化しているのは人間の社会だけではありません。自然の様子もどんどん変わってきています。四季の変化はもちろんなのですが、鞍馬周辺の山の姿もずいぶんと変わりました。

気候の変化もあるかもしれませんが、最も大きな原因のひとつは鹿だと思います。何年も前から山に鹿が頻繁に出没するようになり、昼間でもあまり人間を恐れることなくうろうろしています。園の周りでもずいぶん見かけます。

この鹿が山に生えている草を食べ尽くすものですから、緑の草に覆われていた山肌が、今では茶色くなってしまっています。樹木も皮を食べられてしまうものですから、枯れてしまいます。

鹿の食害は全国的に問題になっているらしく、食べ物がなくなると、活動範囲を広げて高い山にも登って行き、貴重な高山植物を食べてしまったり、また、今までは食べなかった植物まで食べるようになったりしてもいるようです。

園の周りでも、生け垣の緑が食べられたあとに少し芽吹いてきたと思ったら、またたべてしまうようなことを繰り返すので、枯れてしまう木も多いのです。

もちろん鹿だけではなく野生の猪や猿も出没しますが、やはり影響が大きいのは鹿です。この鹿が増えたことが、山肌の緑の現象だけではなく、様々なことに影響しているのです。

変化 1

2013/02/28

いろいろな変化がとても早くなっています。子どもの育ちに影響する環境の変化も例外ではありません。家族の形や家庭のあり方も変わっています。少子高齢化と核家族化が進んで、若いお母さんがひとりで子育てを担っていることが多いのではないでしょうか。

赤ちゃんが長い時間お母さんと二人っきりで過ごすことは、赤ちゃんにとっても、お母さんにとっても好ましいとは言えません。赤ちゃんには発達に必要な刺激が少なすぎますし、子育ては若いお母さんがひとりで行うには大変なことです。赤ちゃんの発達には養育者との相互関係が大切なのはもちろんですが、いろいろな子どもと接する機会がとっても大切だと思います。同年代の子、少し年上の子、年の離れた子、いろいろな子がいる中で育つことで、まねをしたり、じっと見たり、面倒を見てもらったりします。こうして子ども同士の関係の中で育つことが大変重要です。

当園でも0歳児たちが、友だちや1歳児、時には2歳児、5歳児といろいろなひとと関わりながらぐんぐんおおきくなっています。子どもの育ちにとって大切な子ども集団が地域になくなってきています。子ども集団を活かすという役割が保育園や幼稚園に求められるようになっていると思います。

来年度の入園者が決定する時期ですが、保育園に入園するには、共働きであったり、介護であったり、保育に欠ける要件(保護者が保育できない)というのが必要になってきます。受け入れ枠が少なくて、入園希望者が多いと、共働き世帯なら、勤務時間が長い世帯ほど優先的に入園できる仕組みになっています。

ところが、この要件は親の都合が最優先されています。あたりまえと言えばあたりまえなのですが、子どもの育ちという側面から見れば、一日のほとんどをお母さんと2人で過ごさざるを得ない、お母さんが専業主婦の家庭の子どもこそ保育に欠けるともいえるのかもしれません。

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