園長ブログ

グローバルな人材

2013/05/28

久しぶりに雨が降って、乾ききっていた地面が少しずつ潤ってゆき、濃さを増した緑が、しっとりと深い美しさを見せてくれています。今年は鳴き声が聞こえなかったカエルの声もようやく聞こえるようになりました。お寺の池の上にはモリアオガエルが、卵塊をいくつも産み付けています。気象庁によると、近畿地方は平年より11日早く、今日梅雨入りしたそうです。雨の季節がはじまります。雨の日は外に出るのが億劫になりますが、いつもと違った楽しさを見つけに、敢えて雨の日に子どもたちと外に出かけてみるのもおもしろいかもしれません。いつもとは少し違った自然の姿に、「なんだろう?」「なぜだろう?」と興味を持つ子がいるかもしれません

政府の教育再生実行会議が「これからの大学教育などのあり方」に関する提言をまとめたと報道されていました。海外で活躍する人材育成のため、国際化に取り組む大学の支援や、英語を小学校の正式教科にすることなどが盛り込まれたそうです。

英語でコミュニケーションがとれるようになることは、すばらしいことだと思います。しかし、国際的な人材の育成イコール英語教育の強化という単純な図式だけが一人歩きするのもいかがなものかと思います。

コミュニケーションツールとしては言語はとても有効な手段だと思いますが、どれだけ流暢に英語が話せても、自分自身の心の中に「伝えたい」なにかがなかったら、何も伝えることはできません。「聞きたい」という気持ちがなければ、聞こうとはしません。

興味関心や「なぜだろう」「知りたい」という意欲や探求心が大前提だと思います。意欲や探求心を育むにはどうすれば良いのでしょう?

自然が教えてくれること

2013/05/27

畑で作物を育てるのはもちろんですが、畑を通して、さまざまな生き物がそれぞれに役割を果たし、助け合って生きている。いろいろな生き物が繋がって生きていることを学べる場でもあります。

学ぶことができるのはそれだけではありません。作物にはできるだけ自然に育ってほしいと思っているので、手を加えないよいうにもしています。他の草が生えてきたときには、少しは苅ることもありますが、基本的にはそのままにしています。水だってできるだけやらないようにしているのです。自然の雨だけで成長してゆくのです。そんなときに役に立つのが、地面を覆っている落ち葉や枯れ草です。土が直射日光にあたると、乾きすぎることだってありますし、水をやると不必要な水までやってしまう可能性が高いので、自然に任せているのです。

芽を出したばかりのかわいらしい双葉には、ついつい水をあげたくなるものです。しかし、そうすることが、かえって双葉の成長を妨げることになりかねません。ついつい、何かをしたくなってしまうところをぐっと我慢して、成長を願いながらも、信じて見守るしかないのです。

子どもに接するときの姿勢と似ています。ついつい「あーしなさい!こーしなさい!」「それはだめ!これもだめ!」と子どもに干渉しすぎてしまうことがありますが、そうすると、子どもが自ら育つ力を削いでしまいます。

畑の自然はいろいろなことを教えてくれるのです。

      ともろこし

       トマト

畑で学ぶ

2013/05/27

畑に蒔いた種が無事に芽を出したのはとても嬉しいことです。種まきした翌日にしっかりと雨が降ったのが良かったのかもしれません。畑は全く耕していなくて、育てようとしている作物以外の植物もたくさん生えています。さすがに種を蒔くときは、他の草に移動してもらいますが、種を蒔き終わったら、また草をのせておきます。そうすることで、草が地面を覆っているので、保湿効果もありますし、そこにいろいろな生き物が生活できる場が生まれます。昆虫やミミズをはじめ、目に見えない菌類などがそれぞれに関わり合いながら生きているはずです。そのバランスがうまくとれていると、そこが生き物にとって生活しやすい場、生き物が「楽しい」場になるのです。楽しいというのが変なら、それぞれが存分に生きることができる。という言い方をした方が良いかもしれません。そのことによって、落ち葉や草などが土に還る過程をそれぞれに担っているのです。枯れ草を食べる動物や虫がいたり、分解する菌類や、細菌などがいます。つまり、それぞれが自分の役割をしっかりと果たす事で、落ち葉や枯れ草を土に還すという仕事ができるわけです。その仕事は、昆虫だけではできませんし、細菌だけでもできません。みんなが、自分の役割をしっかりと果たすことが大切なのです。

人間だって同じだと思います。一つの仕事をするのに、全員が同じことをしていてはなかなかうまく行きません。それぞれが、自分の役割をしっかりと果たして、目的のために貢献することが必要です。多様性と言われますが、みんなが違うことに意味があるのだと思います。ちがうからこそ役割が果たせるし、それができると全体としてより良くなることができるのです。

私が使わせてもらっている畑は、もちろん作物を育て収穫するという目的はありますが、それだけではありません。できるだけ手を加えない自然のままの状態にしておき、その姿から様々なことを学ぶ場、自然の姿から人間のあり方を学ぶ場として機能しているのです。

2013/05/25

先日、このブログで畑に様々な種を蒔いたことを取り上げました。昨年、この畑で育った作物から取った種なので、本当に芽が出るのかどうか不安でした。例えば、大豆は収穫するのが早すぎたようにも思うので、十分熟していたのかどうかわかりませんでした。大豆は2年経つと発芽しないと言われているので、毎年蒔いて毎年収穫し、そしてまた次の年に蒔かないと、代を重ねてゆく事はできません。そうして、毎年代を重ねてゆくことでその土地の大豆になってゆくのです。どこかで失敗したら、もう一度新しい種を入手するところからやり直さなければなりません。ですから、昨年収穫した種が発芽するかどうかはかなり重要なことなのです。トマトにしてもトウモロコシにしても、どうなるのかとちょっと心配していました。

種を蒔いてから10日ほどして畑に行って種まきした辺りを見てみると、黒い帽子をかぶった厚ぼったい双葉が、頭をもたげています。「あー!黒豆が芽を出してる!」と一人で言ってしまいました。このときの嬉しさは、なんと言えば良いのでしょう。ことばが見つかりません。思わず他にも芽を出していないか探しました。一定の間隔で種を蒔いたので、場所の見当をつけてを見てみると、隣もその隣も、結構たくさん出ていました。大豆や黒豆の双葉がどんなのかも知りませんでしたし、トウモロコシやトマトだって、よくわかりません。特に私が使っている畑の場合、草を抜いたり耕したりしないので、どれが種まきした植物なのかはよくわからないのです。一定間隔に蒔いて良かったと思います。等間隔で似たような芽が出ていたら、それが種まきした植物です。トウモロコシもトマトも芽を出したばかりの姿はわからないので、そうして探したら、トウモロコシはほとんどが発芽していましたし、トマトも小さな芽がいくつか集まって出ているので、それとわかりました。

      黒豆

     よいしょ!

つなぐ

2013/05/24

なぜ、いちいちロープを引っ張らないとボールが落ちてこないバスケットゴールにしたのか?作った先生に聞くとこう答えてくれました。

バケツの底を抜いてしまうと、子どもがボールを入れたらそのまま落ちてきてしまう、そしたらそれを拾ってまた入れる。バスケットの練習ならそれで良いのかもしれないが、子どもの遊びとなると、遊びが一人で完結してしまっておもしろくない。敢えて
誰かがロープを引っ張らないとボールが落ちてこないようにすることで、2人の子どもが一緒に遊ぶことができる。例えば「ボールが入ったらロープを引っ張って落としてね。」「うん!わかった!次は交替してね。」というように、バケツのバスケットゴールが子どもたちを繋げてくれることを狙って、そういう構造にしたというのです。
そんな話を聞いていたら、とても嬉しくなりました。

子どもたちも嬉しいのでしょう、よく遊んでいます。ロープがぶら下がっていたら引っ張りたくなるのは、当然のことで、1歳や2歳の子も引っ張りたくなります。幼児がバケツにボールを入れようとしているのに、小さい子がわからないで引っ張ってしまうこともしばしばです。そうすると、せっかくゴールしようとしていた子はそれができなくなるので、「もー!引っ張らないで!」と怒っていたので、小さい子でも丁寧に説明してお願いすればわかってくれるんじゃないかな。と提案すると、ちゃんと説明してお互い納得して、2人で一緒に遊んでいました。

こういった子ども同士が自分の想いを伝え、相手の気持ちも受けとめる。そんなきっかけになればとバスケットゴールを作った先生のねらいはみごとです。

子どもは、環境や条件さえ整えてあげれば、ちゃんとできる力を持っているのに、ついつい、ああでもないこうでもない、そうしちゃダメ、こうしなさいと口を出しすぎてしまうのはなぜなのでしょうか。

第2の人生

2013/05/23

園庭に椿の木が2本並んでいます。今年はたくさん花をつけたので、子どもたちは花を取っては密を味わっていたのですが、低いところに花は少なくて、花を取ろうと思うと木に登らなければなりませんでした。花を取りたい一心で一生懸命工夫して木に登っている姿がついこの間まで見られました。

もう花は散ってしまいましたが、先日二本の木のあいだにバケツがぶらさがっていました。子どもに「あれは何?」と聞くと「先生が作ってくれはった。ボールをいれるんや。」と教えてくれました。どうやら職員の誰かがバスケットゴールのつもりで作ったようでした。

作った先生に、バスケットゴールのつもりで作ったのかと聞いたら、取っ手もとれてしまったし、水も漏れるようになってしまったのだけれど、そのまま捨てるのも忍びなく、バケツに第2の人生を歩んでもらおうとバスケットゴールにしてみた。と言っていました。なるほど、物を大切に使おうとしているのだなと、嬉しくなりました。

バスケットゴールならバケツの底を抜いたのかと重ねて尋ねたら、敢えて底を抜くことはせずに、ボールが入ったらそのままでは落ちてこないようにしたと答えてくれました。

では、どうしてボールを取り出すのかというと、バケツの底に細いロープが繋がっていて、少し高いところにある枝の上をそのロープが通り、子どもの背の高さくらいまでぶら下がっています。子どもが下からこのロープを引っ張るとバケツの底が持ち上げられて、バケツが逆さになり、ボールが出てくるようにしたそうです。

どうして、敢えてこんなに面倒なことをしたのか、皆さんにはわかりますか?私は理由を聞いて感心しました。

親子遠足 2

2013/05/22

親子遠足の日は晴れた空に太陽が輝き、気温はぐんぐん上がってゆきました、この日、京都の最高気温は30度を超えて、真夏日になったそうです。それでも、京都御苑の中は緑がいっぱい。特に活動の中心としていた出水の小川周辺は、木が繁って、優しい木陰を作ってくれていてとても心地よく過ごせました。日向を5分も歩けば、木陰のありがたさが、よくわかります。

  何があるの? へんなきのこ!

4つの活動を参加者が選んで行う方法は、みんなが自分のペースで思い思いに楽しめるので、みなさんとてもゆったりと取り組んでくださっていました。

探索コーナーでは、少し離れた草むらで、花や虫を探したり、高い枝にくっついたセミの抜け殻をお父さんにとってもらったり、きのこを見つけて持参の虫眼鏡で見たりしていましたし、1歳児も思い思いに歩きまわったり、何かを見つけてはじっと見入ったりしていました。

顕微鏡コーナーは小さい子には少し難しいのですが、

    つめたくてきもちい!

ひろってきた葉っぱや、みつけた生き物の小さな世界を楽しみました。子どもそっちのけで、実態顕微鏡の中の小さな世界に没頭していらっしゃる保護者もいらっしゃったとか。

水遊びコーナーでは、大人の足首くらいの深さの小川にはいって、思い思いに遊ぶ子どもたちを、岸辺で見守りながらゆったりとおしゃべりしていらっしゃる保護者の姿がありました。葉っぱの舟が流れて行く様子を観察したり、しぶきを上げて走ってみたり、ポリ袋に水を入れてみたりして遊ぶ子どもたちの姿を見ていると、

   なにができるのかなー?

子どもって環境を通して学んでいるのだろうなと感じます。

製作コーナーでは、心地よい風が流れる木陰で落ち葉や小枝、摘んできたたんぽぽなどいろいろな素材を使ったコラージュであったり、葉っぱでフロッタージュしてみたり、親子で作るステキな作品がたくさんできあがっていました。

どのコーナーでも、子どもも保護者も楽しむことができ、そこから保護者同士の会話も弾んでいたようです。

普段の園での子どもたちの活動と同じように、参加者が自ら選んで行うからこそ、小さな子から大きな子まで、子どもも大人も楽しめたのだと思います。企画してくれた先生方に感謝です。

翌日、口々に「きのうのえんそくたのしかったなー!」という子どもたちの顔がいきいきと輝いていました。

親子遠足 1

2013/05/21

子どもたちが待ちに待った親子遠足、幸いお天気にも恵まれて、みんなで楽しい時間を過ごすことができました。この時期に親子で何かを行う理由の一つに、子どもをまん中にして、保護者の皆様や職員がお互いに知り合い、話し合い、交流を深めることがあります。
夏のような天気青空が広がる京都御苑に子どもと大人あわせて140名ほどが集まりました。

昨年まではみんなで園に集まって、ウォークラリーをしたり、稲を植えたりしましたが、今年はどこかに出かけようという先生たちの提案で、最近行っていなかった京都御苑に行くことになりました。

朝、みんなで集まってあいさつをした後、自己紹介をして、その後いろいろな活動をするのですが、今回は4種類の活動を参加者がそれぞれに自分で選んで行うという方法をとりました。0歳児から5歳児までが一斉に同じ活動をするのは無理がるし、それぞれが活動を選んだ方が余裕も持てるし、より楽しむことができるだろうと、先生たちは考えてくれたようです。
具体的には、散策して植物や虫を観察したり、製作に使う材料を探す探索活動、葉っぱや木の実などを使って何かを作る製作活動、「出水の小川」と呼ばれる小さな小川で水遊びをする川遊び活動、そして、見つけてきた草花や虫を双眼実態顕微鏡で観察する観察活動の4つです。

どんな活動がはじまるのでしょうか・・・

いちごクッキー

2013/05/20

子どもたちが畑に行って摘んできたいちご。いつもはいちごジャムを作ってパンやクラッカーに添えていただくことが多いのですが、今回は、ジャムだけでは子どもたちのすることが少ない。もっと子どもたちが自分で作ったと感じられるものを作った方が楽しい。ということでいちごクッキーに挑戦したようです。

クッキーを作る前の下準備として摘んできたいちごを使って先生がジャムを作っていました。朝から園内はいちごの香りで満たされ、子どもたちも自然と興味を持ちますし、目の前で先生が作っているジャムを使ってクッキーを作るとなると、どんなクッキーになるのかな、という想像もするでしょうし、早く作ってみたいという期待感も高まります。きっと先生はそこまで考えて朝の時間にジャム作りをしたのだと思います。

そしていよいよクッキー作り。アレルギーのある子のことも考えて選んだ材料を使って、クッキーの生地を作りました。残念ながら私は来客があったので、クッキーを作っている様子は少ししか見られなかったのですが、少しの時間でも子どもたちの楽しそうな様子が伝わってきました。

材料を混ぜ合わせると、変化する生地の様子を不思議そうに見ていた子もいたでしょうし、あらかじめ作っていたジャムを練り込んでほんのりピンク色になった生地をまるめて、クッキーの形にするのを楽しんでいた子もいたと思います。

みんなが思い思いの形にした生地を調理の先生に焼いてもらったら、おいしいクッキーのできあがり。おやつの時間にみんなでいただきました。好みによってジャムを添えて食べらるという選択肢も用意していたようで、子どもたちは心でも身体でも、もちろん舌でも、いちごを味わい尽くすことができました。いちごづくしです。子どもも先生も楽しかったでしょうし、いちごもきっと喜んでいると思います。

私も後でできあがったクッキーをいただきました。見た目は普通のクッキーですが、割ってみると中がほんのりピンク色、口に含むとほのかないちごの香りが口に広がります。砂糖もずいぶん控えたそうで甘さもやさしく、それがかえっていちごの風味を引き立てていました。子どもたちや先生たちの「楽しい」気持ちがいっぱいつまったクッキーの味は格別でした。

いちごがり

2013/05/19

先日、4歳児と5歳児がいちごがりとさつまいもの苗を植えに滋賀県の守山市まで行ってきました。前にも書きましたが、お寺のご信徒の方が畑の一部を当園の子どもたちのために耕してくださっていて、毎年春にはいちごを摘んでさつまいもの苗を植え、秋にはさつまいもを収穫させていただいています。途中でさつまいもの育ち具合を見に行くこともあります。

くもりの予報が出ていた日でしたが、よく晴れて暑くなりました。畑に着いてまず、さつまいもの苗を植えましたが、子どもたちはいちごが気になって仕方ない様子です。それでも、200本くらいの苗を植えました。そして、となりに植えられたいちごの所に移動して、いちごを摘みます。はっぱの下に隠れている熟したいちごもみつけて上手に摘んでいました。取れたてのいちごはぴかぴか光っていてとてもおいしそうです。赤くなったいちごをすべて摘み取らせていただいたら、かなりの量になりました。

待ちにまった試食タイム。食べる分だけさっと洗って1人3つずつ食べました。摘み立てのいちごを口に含んだときの子どもたちの嬉しそうな顔といったら、言い表せません。私も一ついただきましたが、乾いた口の中にさわやかな甘さと酸味が広がり、そのおいしいこと。
子どもがいくつも食べたくなるはずです。

そうして、子どもたちが食べてもまだまだたくさんのいちごがあったので園に持ち帰りました。担任はこのいちごで、子どもたちと何か作ろうと計画していたようで、保冷バッグに保冷剤を入れて、タッパをたくさん持って来てその中にいちごを丁寧に並べて持ち帰っていました。そこに入りきらない分は、まとめてバスの冷蔵庫に入れて持って帰りました。冷蔵庫をあけるとバスの中にいちごの香りが広がります。このいちごたちはどう変身するのでしょうか。楽しみです。

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