園長ブログ

お火焚き

2011/11/05

京都では11月になると、多くの社寺でお火焚祭が行われます。秋の収穫に感謝する収穫祭とも、火によって罪穢を祓う清めの行事とも、太陽の光が弱くなる冬に火を焚いて太陽の生命力の復活を祈る意味を持つともいわれ、庭火を焚いて祝詞があげられたり神楽が舞われます。このお火焚きの炎でみかんを焼いて食べると病気をしないといわれたり、この季節になると、お火焚きまんじゅうという宝珠の模様のついたおまんじゅうがお菓子屋さんの店頭に並んだりします。またこのお火焚祭は「おしたけさん」とよばれ親しまれているとともに、神社だけでなく民間でも広く行われています。

鞍馬地区のお火焚祭は、由岐神社、貴船神社、二ノ瀬のお宮と各地区の神社で行われていますが、各町内でもお火焚きが行われています。今は火を焚くということこそしなくなったものの、町内の各家から宿と呼ばれるその年の担当の家に集まって、皆で町内の安全や各家の安寧をお祈りし、会食や茶話会で親睦を深めるとともに町内の様々なことを話し合う場にもなっています。町内の役職交代の節目となっているところもあります。私の参加させていただいている町内では、皆が集まりやすいお宅が毎年会場を提供してくださっています。その家のお座敷に毘沙門天のお姿の描かれた掛け軸をお祀りし、お正月に供える鏡餅のような紅白のお餅、みかん、柿などをお供えして、皆で般若心経をあげてお祈りをしています。同じ鞍馬の中でも町内によって少しずつ違った方法で行われているようです。

現代の普段の生活の中で、神仏に祈るということが少なくなっているのではないでしょうか。昔から日本人は神仏とともに暮らしていて、様々なことが祈りと繋がっていました。どうしようもない自然の力を畏れ敬い、その中に神を見て謙虚な気持ちで生活していたのです。

もしかするとそういう普段の心がけが、自分自身を見つめ律することにつながるのかもしれません。「誰も見ていなくてもお天道様が見ている」とよくいわれたものです。そんな気持ちを大切にながら毎日を過ごしてゆきたい。普通の生活に残っている伝統行事を通じてそんなことを感じました。

京都市学童柔道大会

2011/11/04

鞍馬小学校に柔道部があり、子どもたちが練習に励んでいることは以前のブログにも書きました。この子たちが日頃の練習の成果を発揮する場が年に3回あります。夏の京都市学童柔道個人選手権大会、秋の京都市学童柔道大会、冬に行われる耐寒学童柔道大会です。11月3日第51回京都市学童柔道大会が岡崎の旧武徳殿で開催されました。

武徳殿は平安時代に大内裏に建てられた殿舎で、演舞や競べ馬が行われる場所でした。現在、京都岡崎の京都市武道センターにある旧武徳殿と呼ばれる建物は明治32年(1899)に造営されたもので、現在は国の重要文化財に指定されています。そんな由緒ある建物で学童柔道大会が行われるというのも意義深いことです。快晴に恵まれた当日、最高気温23度という11月にしては暑い日になり、武徳殿の内側に開く蔀が全て開けられていました。開会式前から打ち込みをする子どもたちの額には汗粒が光っています。

午前中は個人戦が行われますが、これは順位を決めるのではなく、1人2戦する形で行われます。200名あまりの子どもたちが学年ごとに、同じくらいの体格のこと対戦できるようになっています。鞍馬小学校から出場したほとんどの子が1勝はしていました。町道場に通って練習を積んでいる子が多い他校の子どもたちに比べ、練習時間も短く、練習相手も少ない鞍馬小学校の子どもたちはよく頑張ったと思います。

午後は学校対抗の団体戦、こちらはトーナメント形式で優勝校が決まります。鞍馬小学校も少ないメンバーから5名を選手登録して初戦に臨みます。初戦は不戦勝1人を含め全勝で2回戦進出、保護者の応援にも熱が入ります。学校からも校長先生、教頭先生のほか2人の先生がいらしてくださいました。団体戦2回戦は強豪校とあたって、2勝3負と惜しくも敗れましたが、主将の6年生は圧倒的な強さで相手の主将を下していました。

こういった試合となるとどうしても勝敗が気になるところですし、子どもの達成感という意味で勝つことは大切な要素のひとつですが、鞍馬小学校の柔道部は少し変わっているかもしれません。それは指導者のこんなことばに表れています。

試合の勝敗なんてどうでもいい。柔道は相手が自分より強ければ負けるし、弱ければ勝てる。勝てる試合は勝てば良いけど、大切なのは負ける試合。自分より強い相手に対して自分がどれだけのことをできるか、強い相手に対して怖がらず、自分の技をかけてゆけるかそこが大切なんだ。

試合で相手に勝つことも大切ですが、それよりも自分の弱さに打ち勝って強い相手にでも技をかける勇気や、辛くても自分から積極的に練習に取り組む、そんな心の強さを柔道を通して子どもたちが育んでほしいという願いがあるのです。

  最初の試合が始まります

団体戦に臨む鞍馬小学校柔道部

おたのしみかい 4

2011/11/03

    小学生のダンス

いよいよおたのしみかい当日、とっても良いお天気に恵まれました。朝からみんなで簡単なお参りをしたあと、第1部ステージの始まりです。園児の有志や小学生がダンスを披露したり、保護者有志の○×ゲーム、そして男性保育士が体操のお兄さんになって、みんなで歌ったり踊ったりしました。すでにこの時点から全員とっても盛り上がっていました。園庭では焼き芋担当を買って出てくださったお父さんが一人で頑張って火床をつくり、薪を燃やして焼き芋の準備をしてくださっています。焼き芋に使うサツマイモは4歳児5歳児がおいも掘りに行ってとってきたものを、うまく保存しておいたのでした。それにお寺からいただいたジャガイモを加えてかなりたくさんの数の芋が、小学生の手でアルミホイルにつつまれました。

      やきいも

室内では、前半のおみせやさんスタッフが保護者と一緒に各店舗にスタンバイして、後半におみせやさんスタッフとなる親子は、お客さんになっておみせを巡ります。さすがに11時前のごはんやさんは少し暇そうでした。マッサージやさんもお客さんが少なくて、いろいろなところにお客さんを呼びに行っていました。11時半で今までおみせのスタッフだった人とお客さんとが交代します。どのおみせに行ってもお客さんもスタッフもとても楽しそうです。子どもたちはもちろん保護者も真剣に各ゲームで楽しんだり、店員になりきったりしていらっしゃいました。お昼近くのごはんやさんは、大繁盛。園庭に準備した席は、やわらかな秋の日差しの中、おみせやさんの味噌汁と持参のおにぎりを親子でのんびりと食べていらっしゃる方々で満席です。食事が終わった人がやきいもを求めるので、焼き上がっていたいももあっという間になくなってしまいます。焼きいもを担当してくださっていたお父さんはもう汗だく、2キロは痩せたんじゃないかなとおっしゃっていました。

      コインおとし

12時半にはすべてのおみせやさんが閉店して、ステージ第2部の始まりです。2部の最初はお楽しみ会スタッフのダンス。衣装やメイクがとても凝っていて、よく見ても誰かよくわからないくらいで、会場は大爆笑でした。そして、最後は、保護者バンドによる演奏と歌です。といっても、みなさんプロのミュージシャンなので、『アイアイ』『大きな栗の木の下で』『どんぐりころころ』『真っ赤な秋』などのおなじみの曲ががすごくかっこいい曲になっていて、みんなで歌いました。ここに一緒に登場していた保育士が少し弾けすぎていましたが・・・

     ストライクアウト

いろいろな人が自分の得意技を発揮して楽しむ。そのことで他の人がうれしくなったり楽しくなったりする。準備段階から最後までがそんなステキな行事でした。スタッフの皆さんは、ひとつひとつのことを心を込めて丁寧に行ってくださいました。それも楽しみながら・・・

週明け、合う人合う人から「土曜日はありがとうございました。楽しかったですね」の声を聞きました。スタッフの皆さんをはじめ、みんなが気持ちを一つにできたから、本当のおたのしみかいになったのです。ありがとうございました。

   ゆったりおひるごなん

    ごはんやさん

    マッサージやさん

おたのしみかい 3

2011/11/02

今年も6月頃に保護者のおたのしみかい実行委員を募ると6名の方が手を挙げてくださいました。同時に全ての保護者に今年のお楽しみ会ではどんなことがしたいか意見を募集しました。意見の中には、去年のバーベキューが楽しかったというのもありましたし、流しそうめん、仮装大会、屋台、お店屋さんごっこなど楽しそうなアイデアがいっぱいです。そして、9月の運動会が終わってから第1回の実行委員会をもち、具体的に何をするかを決定しました。その中で昨年のバーベキューで保護者と職員の距離がぐっと近づいたのだから、今年は親子で楽しめることができると良いということで、募集したアイデアのなかでも多かった親子でお店屋さんごっこをすることに決まりました。話し合いの中で「子ども主体」「子どもをまんなかに」というのなら、もっと子どもが楽しめるものにした方が良いという意見が保護者からでてきたことに、園の理念を保護者が自分のこととしてとらえてくださっているのだと思いました。

実際にどんなお店を出すのかは次のように決まりました。それを決める過程でもかなり深い話し合いが行われたので、決定理由とともにどんなお店を出すことにしたのか紹介します。

コイン落としは、1歳児の保護者がうちの子は、物をつかんで何かに入れるのが好きで、そんな遊びをよくしているから、物をつかんで落とすことができるゲームコーナーが良いとおっしゃってくださったのをきっかけに、水を張った水槽に小さな容器を沈めて上からいろいろな物を落として容器のなかに入れるというゲームを行うことになりました。子どもの今の姿からその子に必要なことは何かを考えて環境を整える。私たちが大切にしている、子どもの姿から考えることを保護者が自然に行ってくださっています。

おまつりの屋台をイメージしたストライクアウトやまとあてなどのゲームは、大人も子どもにかえって真剣に楽しめると良い、真剣に楽しんでいる大人の姿を子どもが見るのも良いという理由で大人も参加することに決まりました。実際にやってみるとどうなのかというシミュレーションも行われ、まとあては小さな子には難しいから、まとあての代わりにひも引きを用意することになったようです。

ユニークなものではマッサージ屋さんというのがありました。子どもが家でマッサージをしてくれると結構上手くて気持ちいい。ゆったりした癒し空間があるとよいという保護者の意見から開設されることに。

お昼ご飯は、園で調理員が具だくさんの味噌汁を作り、ごはん屋さんで提供するとう案に落ち着きました。ごはん屋さん担当の子どもたちが、味噌汁を運んだりテーブルを拭いたりするのです。

ステージは、いろいろな得意技を持つ人がそれをステージで発表していただき、皆さんに喜んでいただこうという趣旨です。

1ヶ月半の間に5回以上も集まって、話し合ったり、必要な物を作ったり、シミュレーションしたりと、保護者実行委員の皆様にはお手数、お手間をおかけしているなと思っていました。ある日委員会が終わって会場から出てこられた保護者に「お世話になってありがとうございます。お手数をおかけしてすみませんね。」と声をかけると、「いろんなことがどんどん形になっていって楽しいです!」と答えていただきました。なんだかとってもうれしくなりました。

おたのしみかい 2

2011/11/01

前にもおたのしみかいを行っていたことがありました。そのときは「みんなが仲良くなり、コミュニケーションを深める」という目的でしたが、保育園が主導で企画、準備、当日の進行、片付けなどを行っていて、保護者は当日の参加だけでした。お父さん方には、園庭にかまどを設け大きなお鍋で味噌汁を作ったり、焼き芋を焼いていただいたりし、子どもたちはお母さんと一緒に味噌汁の具材をちぎったり、切ったりして、親子合同のクッキングをするという内容でした。それはそれでみんな楽しめたのですが、諸事情でしばらく中断していました。

そして、昨年度から「保護者と保育者が力を合わせて一緒に作ってゆく」という目的で再開したのです。保護者から数名の実行委員を募り、保育士の担当者が加わって実行委員会を組織し、どんなことをするのか企画段階から一緒に考えて作り上げてゆくようにしました。昨年は園庭でバーベキューをしようという企画で、保護者の皆さんがとても積極的に活動してくださって、楽しい会になりました。初めてのことで全てが手探り状態だったので、実行委員の皆さんにはいろいろとご苦労をおかけしましたが、とても積極的に取り組んでくださいました。

おたのしみかいの2日ほど前から台風が接近して、もしかすると当日は、台風直撃かと思われる予報が出ていたので、中止も含めて検討しましょうと実行委員の保護者に相談したら、風雨で園庭を使うのが無理なら、ホットプレートを持ち寄ってテラスでやりましょう。電気の容量が不足するなら、電気工事のお仕事をされている保護者がいらっしゃるのでその方に仮説の電源を引いてもらえば良いじゃないですか。ということですぐに話がまとまり、もし当日風雨が強いようであれば、すぐにその体制がとれるように準備をしてくださいました。このときの保護者の皆さんのアイデアと行動力、チームワークにはとても驚かされるとともに、すぐにあきらめず、できることを全てやった上で、問題が起これば次の手を考える。全力でトライするという当たり前のことを再認識させていただきました。「弱気になっていないで、しっかり前に進め!」とガツンと背中を押された気がしたのを思い出します。これほどまでに園のことを考え、力になってくださる保護者に支えていただいているのだと思うと涙が出そうになったほどです。そんな保護者パワーに圧倒されたのか台風はそれて、当日は小雨程度で当初の予定通りおたのしみかいを行うことができました。

そして、今年も保護者の皆さんのパワーとチームワークが発揮されたおたのしみかいの企画が夏頃から始まりました。

おたのしみかい 1

2011/10/31

当園の基本コンセプトは「みんなのいのち輝く」です。どんな人でも一人ひとりがステキなところ、その人にしかできないこと(私はこれを「得意技」と呼んでいます)を持っています。得意技ですから、基本的にそのことが好きです。好きなことをしているときって、時間を忘れて没頭してしまいます。まわりからは、我慢をして辛い努力をしているように見えても、本人は結構楽しんでいたりします。もちろん努力は努力で厳しいことも辛いこともあるのですが、あまり苦にならずにできてしまう。それほどまでにエネルギーを注ぎ込むことができる好きなこと。そんなことをしているとき、その人はは「いきいき」としています。こんな「いきいき」できるときがその人の「いのち輝く」ときだと思います。

そして、自分がいきいきとできて楽しいこと、自分の得意技を発揮すること、そのことによって誰かが喜んでくれたり、誰かの役に立つことができる。そうなると、そのうれしさも、いきいき度もグンとアップし、その人のいのちがさらに輝きます。その人だけではありません。うれしさをもらった人も輝けるのです。そういう関係性が「みんなのいのち輝く」なのです。みんながそれぞれの良いところを活かし合うことで、みんなが楽しくなれる、いきいきできる。と言ってもいいですね。

関係性ですから「君のそこがステキだね」とお互いがお互いを認め合うことが前提となります。1人の人には良いところも悪いところもあります。人の悪いところばかりを見て、責めたり否定したりするところからは、不平不満しか生まれません。自分も相手も輝くことなんてできないのです。誰かのステキな部分をしっかり見つめて、そこからその人のすべてを尊敬できるようになれたら、自分自身どんなに幸せでしょう。自分もうれしくて輝けるし、相手もうれしくなります。いつもそうだとといいですね。でもそれは待っていても誰もしてくれません。自分がそう感じられるようになるしかないのです。

灯火が一つともると、周りを明るくします。その明るさに照らされて別の灯火もともる。そしてまた別の灯火が・・・ 多くの灯火が互いを照らしあい、互いに明々と輝くことで全体が明るくなる。そんなイメージでしょうか。

保育園にはいろいろな人が関わっています。子ども・保護者・保育者・地域の人々と書き上げたらきりがありません。ですから、子どもをまん中にして、いろいろな人たちが、それぞれのいのちを輝かせることができる保育園でありたいと願っています。その中で最も直接的な関係にいるのが、子ども・保護者・保育者です。この人たちのいのちが互いに輝き合い照らし合うことが大切なのです。「子どものより良いそだち」という大きな目標に向かって、子ども自身と保護者と保育者が力を合わせる関係でいたいと思っています。

なにか一つのことにみんなで一緒に取り組むこと、お互いに課題を共有し力を合わせて乗り越えることが、お互いに輝き合える関係を形にしてゆくには重要です。保護者と保育者が力を合わせて共にイベントを企画し実行することをを通して輝き合えることを目的に昨年から「おたのしみかい」を復活しました。

そんな「おたのしみかい」についてお伝えしてゆきます。

こーちゃんとあそぼう 2

2011/10/30

こーちゃんとあそぼう当日は全園児があつまって、こーちゃん(浦中さんのことをこう呼びます)と一緒に歌をうたったり、身体を動かしたりして遊びました。2歳児3歳児が動物園に遠足に行く前後によく歌った「どうぶつえん」がこーちゃんの作詞作曲だと子どもたちに伝えると、いつもより喜んで歌っていました。歌って踊って楽しんで、みんなすっかりこーちゃんと仲良くなりました。

楽しい時間はすぐに過ぎて、あっという間に予定の時間。「えー!もっと遊びたい」の声もありましたが、一旦終了して3歳児以下はそれぞれ園庭などに遊びに行き、4歳児5歳児が残って次の遊びへ移ります。

新聞紙を1人1束ずつ持ち、大きく広げた新聞紙に自分のクレパスを使って好きな色で好きなように線を描きます。そのときに「自分が失敗したと思ったら、次の新聞紙使って良いからね。」のことばがけで、子どもたちは失敗を恐れなくていいんだと安心できます。

こーちゃんから、「好きな色で好きなように線を描いてみて」といわれて、すぐに描き出す子、きょろきょろと周りを見回してばかりで手が動かない子、少し描いたら紙を取り替えている子、一枚の紙にじっくりと描いている子、いろいろなアイデアが浮かんで試している子、線を描くよりも新聞の記事(写真)に興味が行ってしまう子。本当に様々です。

「できるだけいろいろな色を使ってね」のこーちゃんのことばに、色を違えて一本の線を描いている子もいましたし、クレパスを横に使うと太い線が描けるというヒントをもらうと早速それに挑戦している子もいました。

 いろんな線があっていいんだよね

  好きなところは? 全部!

ある、年長の女の子は最初から最後まで1枚の紙、端から端までいっぱいに、いろいろな色を使って丁寧にしっかりと縦にも横にも線を描いていました。

あっという間に時間がきて、最後に子どもたちが今日描いた中から自分の一番好きな作品を選んで、気に入っているところ、苦労したところなどを発表し、1人終わる度にみんなで拍手をしていました。

今回は、子どもたちが「描くって楽しい!」と感じるきっかけとなればという目的で、このような形のワークショップを開催しました。子どもたちはどう感じたでしょう。

最後に年長児が、お礼に運動会でおどった「まつりだわっしょい」を披露し、こーちゃんにまた来てね!とお願いして終わりました。

こーちゃんとあそぼう 1

2011/10/29

今年の10月後半は子どもたちにとって楽しいことだらけです。遠足、今日行うおたのしみかい、先日は講師を招いて子どもたちと楽しく遊ぶ会を開きました。今まではあまり講師を招いて子どもと遊ぶという機会はなかったのですが、保育をもう一度見つめなおす中で、少し疑問に思ったことについてのヒントがあればと考えたのです。

来ていただいたのは、浦中 こういち さん。保育士として現場を経験した後、現在はフリーのイラストレーター・遊び作家として活躍されている方です。当園の保育士の知り合いなのですが、偶然もう一人の保育士の学生時代の友人、というご縁もあって講師をお願いすることにしました。

私が漠然と抱えていたのはこんな思いです。保育の中で子どもたちが絵を描くことがありますが、そんなときに子どもが心の底から「描いてみたい!」と思っているのだろうか?「描くのが楽しい!」という経験をしているのだろうか。運動会の後には運動会の絵を、おいもほりの後にはおいもほりの絵を、大人が半ば義務的に描かせていないだろうか。先生が描こうというから描くのでは、楽しくないかもしれない。もちろん、きっかけとして大人が誘うことも必要ですが、基本的には子どもの中の「描きたい!」という気持ちが出発点です。もう一つ、子どもが、どこか上手に描かなくては!失敗したらどうしよう。という思いをもっていないだろうか。

絵を描くのが好きな子はそんなことはないかもしれませんが、描くことに苦手意識をもってしまっている子や、あまり好きではない子のなかに「もしかして、絵って楽しいかも!」と思える子がいればいい。「そんなに構えなくても自由にすればいいんだよ。」ということを感じてほしいな。と思ったのでした。

子どもの発達は、全体的なもので、絵が苦手だから訓練してうまくなるというものではありません。まずは自分が今の自分でいて大丈夫!という安心感、肯定感、そして自信が土台です。安心して心が満たされている子はいろいろなことに意欲的に取り組めますし、遊び込むことができます。絵を描くのが好きな子は絵を描くことで自分を発揮する。それがさらなる肯定感や自信につながり、他のことにも意欲が持てるのです。だからこそ、子どもは生活全てが大切なのです。

こんな思いで行った「こーちゃんとあそぼう」どうなるのでしょうか・・・

浦中こういちさんのCD

おいも

2011/10/28

2歳児がみんなでお散歩に行きました。お寺の方から庫裏の裏に植えたさつまいもが実ったので、良かったら取りに来ないかと誘っていたあいたので行ってきました。この日、10月26日は朝から晴れたり曇ったりのまずまずのお天気でしたが、冷たい風が吹き寒い一日でしたが、子どもたちはスコップを持って元気に出発です。

山の中腹にある本殿や庫裏まで行く方法は、約1キロメートルの参道を歩くか、途中までケーブルカーを使うかの2通りあります。2歳児たちもしっかり歩けるようになってきて、歩いてでも簡単に上れるのですが、お寺でゆっくりしたかったので、この日はケーブルカーに乗せていただきました。ケーブルカーを降りてからしばらく歩き、100段あまりの石段もさっさと登って本殿に到着。「おはようございます」とご本尊に手を合わせてから、おいもの植わっている畑へ。

事前にお寺の方が蔓を刈ったり、半分掘り起こしたりしてくださっていたので、ところどころにきれいな紫色が顔をのぞかせています。子どもたちは、早くとりたくてしかたがないという様子で、早速畑に入ります。とりやすいようにしてあったので、引っ張っただけでもおもしろいようにとれるのもありますが、少し掘らないといけないのもあります。土に埋まっている部分はどうなってるのだろう。もっとおいもが出てくるかもしれない。という様子で土を掘っている子もいる一方で、あまり土に触りたがらない子もいます。いろいろな感触を経験してほしいと思うのですが、無理にさせてもしょうがないので、やってみたくなるのを待ちます。もちろんただ、待っているだけではなく、やってみたいと思えるような環境を用意することが必要です。ともだちが楽しそうにやっているのを見ることもそうですし、大人が楽しそうにやるのも大切です。

子どもは育ってくる環境からいろいろな価値観を身につけてゆくのです。「汚れるから土に触らないで。」とおとなが言い続ければ、汚れることや土に触ることが良くないこと、いやなことだというイメージを子どもは持ちます。虫が怖いとか、気持ち悪いとかいう人が多い中で育てば、虫は嫌いになります。ですから大人がいろいろなことに楽しんで取り組む。一緒にやって、「おもしろいね!たのしいね!」と共感することも必要になってきます。

みんながたくさんおいもがとったあとは、時間があったので本殿の前で遊んで帰りました。石段の脇の斜面を滑り台がわりに滑ったり、色づいた桜の葉っぱや、風で落ちてくる松葉を拾ったり、子どもの遊びは無限に広がります。カマキリをつかまえて見せに来てくれた女の子もいました。石段などで遊んでいる子どもを見ていると私などは内心ハラハラしてしまいますが、保育士は余裕です。毎日一緒に生活している子どもたちのことをよく理解していて、どのくらいまでが大丈夫なのかをよくわかっているので、子どもを信じることができるのですね。

大きく見守られる中で思いっきり遊ぶ子どもたちはとっても楽しそうでした。

「同じ葉なし」

2011/10/27

少し前のことです。大きな箱が保育園に届きました。どこから何が送られてきたのだろうと思って送り状を見てみると、知り合いの会社社長が梨を送ってくださったのでした。昨年もいただいた「新高」という種類の大きめの梨で、高い香りと深い味わいが思い出されます。早速箱を開けると手紙が入っていて、ご親戚の方がご自身の梨園で心を込めて育てていらっしゃる梨を新鮮さにこだわって、朝摘みを直送したものだという説明と、今まで、当たり前だと思っていたことが如何に有難いことであるかを深く噛みしめ、「より善く転じる」ことを人の道として、真心を籠めて日々の社業に取り組んでゆくという旨の決意が書かれています。その手紙に梨の葉だと思いますが、一枚の葉っぱが貼り付けてあり、「同じ葉なし」と書かれていました。一本の木の葉でも全く同じ物はないという意味だと思います。同じように見えても一枚一枚が異なり、それぞれが役割を果たしてこそ木が育って立派な実を結ぶのです。大きな葉小さな葉いろいろありますが、それぞれに役割を果たしているのです。

私たち人間にもいろいろな人がいます。ひとりひとり顔や姿が違うように、好きなことや得意なことが異なり、それぞれに役割があるのです。それがその人の「いのち」だと思います。ですから、あまりにも幅の狭い単一の価値観だけで人を判断するのはいかがなものでしょうか。

勝ち組負け組ということが言われましたが、お金を儲けるのがうまい人だけが「勝ち組」で、使い切れないほどのお金を得る一方で、そうでない人は「負け組」といわれて、日々の生活にも困る人も出てくる。大きな格差を生んでいるのです。どこか歪んでいます。これはどこか変だ。なんとかしなくては。と思っている人はたくさんいるはずです。

人間は弱くなることで進化してきたということを以前ブログで書きましたが、弱くなることで社会を形成し、一番弱い人を真ん中にして皆が助け合って生きてゆくという道を選んで進化してきたということです。ですから、社会が機能しなくなっては、人は生きてゆくことが難しくなってしまいます。そうならないためにも、ひとりひとりがそれぞれの良いところを活かすことができるよう、みんながお互いを認め合う、違いを認める、多様性を認める、という方向に進むのが理にかなっているのではないでしょうか。だって、みんなが幸せに暮らせるようになりたいですもの。

梨と一緒に届いた手紙と一枚の葉っぱがそんなことを考えさせてくれました。もちろん梨もとってもおいしく、口にも心にもおいしいごちそうをいただくことができました。これも社長さんが心をつかって、真心を籠めて、梨を届けてくださったからです。ありがとうございます。

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