園長ブログ

まめまき

2012/02/03

寒さが厳しくなってきました。昨日は最高気温が氷点下3度でした。鞍馬から17キロメートルほど北の花脊から通っている職員が、朝の気温は氷点下12度だったと言っていました。とても寒いのですが、相変わらず雪は少なめです。

今日は節分、みんなでまめまきをします。しかし、先日紹介したように鬼から手紙が来ていたので、今日はもしかしたら保育園に鬼が来るかもしれません。子どもたちは朝からそわそわ、職員のブログにあるように、「鬼が来たらどうする。」「怖がらんと豆を投げつけなあかんで。」などと相談していました。

全園児が集まって、手遊びをしたり、歌を歌ったり、節分の話を聞いたりしたりしますが、みんなどことなくそわそわしています。見に来られた保護者や職員が出入りするのに扉を開けるたびに振り向いて出入り口を気にしていました。

話しを聞いた後は、5歳児の子どもたちが自分で作った鬼のお面をつけ、鬼役になって登場、他の子どもたちをおどかします。鬼のお面をつけた顔を0歳児のHくんの前に近づけて「ウォー!」といいますが、Hくんはキョトントしているだけでした。5歳児は懸命に脅かしますが、脅かされている方はあまり怖そうではありません。

しばらく5歳児鬼を相手にまめまきをしたあと、床に散らばったまめをみんなで拾い集めていると、どこからともなく太鼓の音が、そして「ウォー!」という叫び声、今度の声は5歳児のかわいらしいものとは違って、低く迫力のある大きな声です。子どもたちの顔がこわばったかと思うと、バーンと勢いよく障子が開いて、恐ろしい形相の二体の鬼が部屋に入ってきました。顔色を変えて逃げ惑う子、後ずさりしながらも鬼にまめをぶつける子、何が起こったか訳がわからずポカンと口を開けている子、勇敢にも鬼に向かっていって豆を投げつける子もいます。
豆を投げられても鬼はものともせず、金棒を振り回し、「ウォー!ウォー!」と叫びながら暴れまわります。鬼が来る前には強がりを言っていた子も、鬼に追い詰められ、顔を近づけて「ウォー」といわれると、怖くてたまりません。鬼に手をつかまれ子もいました。一人の保育士が鬼に連れて行かれそうになったときには、2人くらいの5歳児が助けようと鬼に向かっていっていました。
床に落ちた豆を拾っては投げ続けるうちに鬼も力がなくなってきたのか、退散して園庭から、畑の方へ逃げていってしまいました。

鬼が去ったと後は、泣きじゃくる友達の頭をなでて慰めるやさしい子の姿があちこちでみられ、とてもたのもしく、心が温かくなりました。

子どもにはとても怖い体験かもしれませんが、どうしようもなく怖いこと、自分ではどうにもならないことを体験することも必要かもしれません。

     鬼のお面をつけて・・・

     鬼がおおあばれ

みんなで作る

2012/02/02

この冬一番の寒気がやってきて、この冬一番の冷え込みになりました。今朝の気温は氷点下5.5度、11時頃でも氷点下4度です。各地で大雪が降って被害が出ているところもあるようです。被害が広がらないことを祈ります。鞍馬でも昨夜から粉雪が降ったりやんだりしていますが、積雪量は5センチほどにとどまっています。今度こそ20センチ以上積もるかと覚悟していたのですが、そうでもありませんでした。まだ強い冬型の気圧配置が続くそうなので、節分の朝にかけての積雪が心配されます。
外はとても寒いのですが、子どもたちは元気に過ごしています。

先日、ランチルームに大きな段ボールの箱が置いてあったので、何が始まるのかと思っていたら、2歳児と3歳児がいっしょにバスを作り始めました。作品展が近いと言うこともあるのでしょうが、2歳児と3歳児が一緒にひとつのものを作り上げることを経験して欲しいという保育士の願いがあったようです。

最初の日、みんなで青い絵の具を使ってダンボール全体を塗りつぶす計画で、ひとり一人筆を使って背丈より高いダンボールに着色していました。

なぜ、青いバスなのかというと、去年の秋、2歳児と3歳児は一緒に遠足に行きました。そのとき動物園へ行くのに使ったのが、青いバスだったのです。みんなで行った遠足を思い出してバスを作ろうということになったそうです。

どの子も手も足も真っ青にしながら、とても楽しそうに、でもとても集中して塗っています。みんなとても真剣な顔つきで、あっという間にきれいに塗り上げ、内側に入って塗っている子もいました。

バスを作ったことをきっかけに、遠足に行ったときのことを思い出したようで、動物園のこと、バスのこといろいろと話していたようです。「バスにはハンドルがあった。」「ハンドルはまわるんやで。」「アクセルとかブレーキもあった。」「タイヤもあるしな。」「みんなが座るイスもあった。」と話が弾んでいたよいうです。「園長先生に運転してもらわなあかんな。」と言っていた子もいたとか。たまたまその日は私が運転していったのをちゃんと覚えていたのです。

2日ほどおいて、絵の具が乾いたところで、シートやタイヤ、ハンドルなどを作って取り付けていました。回せるハンドルは難しかったようで、保育士に頼んで作ってもらったようです。

完成したところで、みんなでバスに乗ったのは良いのですが、ラッシュ時の電車のようにギュウギュウです。それでもみんな楽しそうに窓から手を振っていました。2歳児、3歳児という枠組みを超え、一人ひとりが楽しんでいました。

タイヤもつくろう

  乗り込めー!

進化

2012/02/01

子どもたちの遊びが進化しています。前にも紹介した5歳児のこままわしです。

保育士が「スタジアムが増えましたよ」というので朝の遊びの時間に見に行きました。5歳児の男の子を中心に熱心にこままわしに興じているグループがあります。「スタジアムが増えたんやて。」と聞くと「そうやで!見てみ!」と新しく増えたスタジアムを見せてくれました。

以前は20センチ角(周囲に幅2センチの縁がついているので、こまがまわる内寸は、16センチ四方)が最小だったのですが、15センチ角(内寸11センチ四方)、10センチ角(内寸6センチ四方)、2種類が増えていました。
ちなみに、このスタジアムには、「こま場スタジアム」という名前がついているそうです。よく知らなかった私は、前回「こまスタジアム」と書いてしまいました。訂正します。

子どもたちは、それぞれのレベルにあった広さのスタジアムで、こまをまわすのに果敢に挑戦していました。そこで遊んでいる子どもたちは、慣れた手つきでまわしています。子どもはすぐにうまくなるものです。私も挑戦したくなって、使っていなかった子のこまを借りてまわそうとしたら、おかたづけの時間になってしまいました。

保育士に聞くと、最初から一番小さいのを作らなかったのは、あまり目標が遠くにあると、達成できる見通しが立てにくくてあきらめてしまいがちなので、ある程度できるようになってからさらに小さいものを作るようにしたと言っていました。確かにそうでしょう。最初は、こまをまわすこと自体ができなくて練習していたのですから、狙ったところに投げて、そこでまわすなんて想像もできないと思います。ある程度まわせるようになって、20センチ角くらいの大きさなら狙えるようになってきたところで、さらに小さいものを見せてあげると、それにも挑戦してみようと思えるのでしょう。

もちろん子どもによって、すぐにできるようになる子もいれば、そうでない子もいます。こままわしにはあまり興味のない子もいます。その子の今の興味に合う環境を用意しておくと、子どもたちはそれぞれに楽しく遊べます。上手にできる子は更に上を目指し、そうでない子は上手な子を見て学び、教えてもらってできるようになるのです。

大切なのは、どんなことでも「やってみよう」「やってみたい」という気持ちだと思います。子どもが自分からやってみようと思って取り組めるようになるには何が大切か、よく考える必要があります。

小さいのが増えた「こま場スタジアム」

手紙

2012/01/31

最近は手紙を書くことが少なくなりました。便利で早いのでついついメールで済ませてしまいがちです。特に手書きの手紙は書く機会が少なくなってしまいました。まして毛筆で書くことはほとんどありません。今日、保育園に毛筆で書いた大きな手紙が届きました。

保育園の玄関に郵便受けがあり、いつもたくさんの郵便物が来ます。最近はいろいろな業者さんが手紙を届けてくださるので、1日に何回も郵便受けに手紙が入っていることがあります。子どもたちが散歩に出かけて帰ってくると、園庭の門から中に入る前に必ず郵便受けを見て、手紙が届いていると私のところに持って来てくれます。

雪がちらちら降るなか、昼食を食べ終わった5歳児たちが午後の保育の担当保育士と一緒に散歩に出かけてゆきました。子どもは風の子とはよくいったものです。寒さなんかものともせず、元気に遊んでいます。おやつの時間近くになって、5歳児たちが帰ってきたのでしょう、外が賑やかです。声が近づいて来たかと思ったら、何人かが部屋に駆け込んできました。「来た!来た!手紙が!」「鬼から手紙が来た!」といいながら、手には黒い紙の筒を握りしめています。
どうしたのと聞いてみると、散歩から帰ってきていつものように郵便受けを見ると、黒い巻物が入っていた。これは絶対鬼からの手紙だと騒いでいたのです。冷静なWちゃんは、「まだ、中も見てないのに、鬼からの手紙かどうかわからへんやん!」しかし、興奮気味の男の子たちは「絶対鬼からの手紙やて!だって去年もこんなんやったもん!」といっています。

そうなんです。去年も節分前のこの時期に、鬼から手紙が来て、近々保育園に行くと書いてあったのです。早く中を見てみたい5歳児たちですが、3歳児4歳児の子どもたちも一緒に見られるように、おやつを食べ終わってからみんなで開いてみることにしたようです。

おやつが終わっていよいよ手紙を開く時間です。私も子どもがどんな反応をするのか興味があったので見に行きました。子どもたちの後ろでおとなしく見ていようと思ったら「保育園に来た手紙は園長先生に読んでもらわないと」と担任に言われ、私が手紙を読むことになりました。

おもむろに黒い巻物を開くと、毛筆でなにやら書いてあります。子どもたちに見せると「わー!やっぱり鬼からの手紙や!」「なんて書いてあんの、はよ読んで!」と催促されます。手紙には、「わしは鞍馬山の奥に住む鬼だ。」とあります。やはりおにからのてがみでした。内容は、お父さんやお母さんの言うことを聞かない子、好き嫌いをする子、夜更かしをする子、友達に意地悪をする子はいないか、探しに行くというものでした。

それを聞くだけで怖くなって泣き出してしまう子、全く怖がらない子、いろいろですが、節分当日が、怖くもあり楽しみでもあります。鬼は本当にやって来るのでしょうか・・・

節分にちなんだ子どもたちの作品

鬼からの手紙の内容に耳を傾ける子どもたち

落語

2012/01/30

久しぶりに落語を鑑賞しました。特に落語のファンというわけでもなく、町の寄席に行ったわけでもありません。洛北に玄武の会という会があり、その会が主催して鞍馬で「第5回 玄武寄席」が行われたので、鑑賞しました。玄武の会とは「さまざまな事業を展開する活動を通じ自然のこころにふれる人の輪を広げ望ましい人間環境醸成への役立ちを希求する。」ことを目的に、「京の洛北<玄武の地>の現在(魅力・大切さ・役割)を再認識し、それを広く内外に伝えて行く。」という活動を行っていらっしゃる団体です。

出演は、笑福亭枝鶴さん・笑福亭瓶吾さん・林家卯三郎さんの3人の噺家さんでした。ちなみに笑福亭枝鶴さんは一昨年の10月に六代目笑福亭枝鶴を襲名されました。

あたり前ですが、おもしろいです。マクラに、自己紹介、会場に来るまでのことなど身近な話しや季節の話題などを入れながら観客を引き込み、いつの間にか本編に振ってゆきます。前にも一度鑑賞したことがあったのですが、目の前で演じていらっしゃるのを見るのは、テレビとは違って、迫力があります。
林家瓶吾さんの「風邪うどん」では、うどんを食べる表現がとてもおもしろく感じました。少し大げさな仕草と、うどんを食べる音に加えて、顔の表情が絶妙でした。

落語はほとんどが、ことばと仕草による表現です。状況などを説明することばと、登場人物の会話で成り立っていますが、ストーリーがテンポ良くすすむなか、登場人物が何人もいても、声色、ことばづかい、話し方などを工夫して表現してあり、聞いている方は違和感がありません。ずいぶん工夫が必要なのだと思います。枝鶴さんの演じていらっしゃった「三十石」には、旅人、船宿の客引きや番頭、船頭、おばあさんなど、たくさんの登場人物を表現していらっしゃいました。

また、仕草は表情や視線、扇子と手ぬぐいという小道具を巧みに使って表現されます。先ほどのうどんを食べる仕草はよく目にします。瓶吾さんは「看板のピン」でキセルのたばこを吸う様子や、サイコロを振る様子を、枝鶴さんはやきいもを食べる様子を手ぬぐいを焼き芋に見立てて表現していらっしゃいました。少し大げさなところもあって、実際はそんな動きはしないだろうと思われるような動きを敢えてすることによって、臨場感が高まるのは不思議です。
ことばや仕草などによって観客の想像力を巧みにかき立て、見えないものを見せるのはすばらしい芸術だと思います。
「三十石」では、見台と拍子木が噺家の前に置いてい合ったり、舟歌を歌ったり、お囃子が入ったりしていましたが、これは始めて見ました。

実際に目の前で演じていらっしゃるのを見ていると、全身全霊で演じていらっしゃる気迫というか意気がすごく伝わってきました。

サプライズ 2

2012/01/29

このブログを読んでいただいた方から、『みんなを守るいのちの授業 大つなみと釜石の子どもたち』(NHK出版)という書籍を頂戴し、釜石市の子どもたちが大津波から避難した様子を詳しく知ることができました。

以前のブログ「防災教育」では、新聞記事をもとに鵜住居小学校、釜石東中学校のことを中心に書かせていただきましたが、頂戴した書籍には釜石小学校の子どもたちからの聞き取り調査の結果がまとめてあります。

鵜住居小学校の子どもたちは学校にいたので、先生の指示もあってみんなで避難しました。ところが、釜石小学校はすでに授業が終わって、子どもたちは家に帰っていたのです。1人で家にいた子、友達と遊んでいた子、家族と家にいた子それぞれです。そんなときに地震が起こりました。まさに自分で判断、行動しなくてはならない状況です。揺れがおさまって、1人で避難所まで避難して助かった子、ともだちと遊んでいて、みんなで避難場所を考えて、避難した子どもたち。

実際に経験したことのない大きな地震にあいながらも、そこで冷静に自ら考え判断して行動したというのは、なかなかできることではないと思います。自分だったらこの子どもたちのように行動できただろうか。そう思うと自信を持って「はい」と答えられないかもしれません。

おじちゃんおばあちゃんと一緒に家にいて地震に遭い、大丈夫だからと家の中を片付けるおじいちゃんおばあちゃんを説得して一緒に高台に避難させた子や、足の不自由な友達をおんぶして避難した子もいた事を知りました。自分が避難するだけでも大変なことなのに、家族を避難させたり、友達を助けたなんて、子どもたちの力には感動せずにはいられませんでした。

こうして、子どもたちが自分の持つ力を発揮できたのも、防災教育や避難訓練を通じて、正しい知識に基づいた判断と素早い行動を身につけていたからこそだと思います。判断の基準となるものを子どもが持っていないことには、判断しようがありません。

その後の避難所生活でも、子どもたちが率先して掃除をはじめたり、安否確認がしやすいようにと、避難所に避難している人の名簿を作ったりと「自分の命を自分で守る」を実践し「助ける人」へと成長した。ことが記されていました。

ブログを読んでいただいた方のご厚意のおかげで、この本に巡り会えたことが大変ありがたく思います。ご厚意をいただいた方に心より感謝し、改めてお礼申し上げます。

*次の書籍を参考にさせていただきました。
 『みんなを守るいのちの授業』  片田敏孝・NHK取材班 著 NHK出版

サプライズ 1

2012/01/28

先日、当園ホームページの「お問い合わせ」ページを通じて、メッセージをいただきました。メッセージをいただくことは少なく保護者か知人からだと思ったのですが、全く存じ上げない方からです。何だろうと思ってプレビューしてみると、私のブログ「防災教育」を読んでくださった方からのメッセージでした。その内容は、

『みんなを守るいのちの授業 大つなみと釜石の子どもたち』(NHK出版)という書籍に、3月11日、釜石の子どもたちがどのように津波から命を守ったのか、その当日の様子と、防災教育の内容について書かれているので、是非先生方に読んでほしい。1冊 贈りたいが、構わないか。

というものでした。申し訳ないと思いましたが、せっかくのご厚意なので感謝して頂戴することにしました。

まさかこんなメッセージをいただくとは思っていなかったので、正直言って驚きましたが、本を贈っても防災教育の重要性を伝えたいと思っていらっしゃるお気持ちに感動しました。改めてお礼申し上げます。
それと同時に、このうれしいサプライズを当園での防災教育を考えるきっかけとすべきだと感じました。
いろいろな方がブログを読んでくださっていることを実感し、気が引き締まります。

翌日、書籍が届いたので、早速読ませていただきました。小学校高学年向けに書かれているので、とても読みやすく、わかりやすく書かれています。新聞記事だけではわかりにくかったことが、実際に避難した子どもたちへの聞き取り調査などをもとにして詳しく書かれていました。

以前ブログで取り上げた鵜住居小学校の児童は授業が終わる前だったので、ほとんどの子が教室にいて、先生の避難指示もあったようです。それでも普段から避難訓練をしているので、「逃げなさい」と言われれば低学年でもどこに逃げれば良いかわかっていて自分で避難できるそうです。
避難する途中に鵜住居保育園の子どもたちに出会って、園児を抱いて逃げた子、園児の乗った手押し車を押して逃げた子もいたことを知りました。
訓練で避難場所としていたグループホームに危険を感じて逃げ、介護福祉施設までたどり着いてすぐにものすごい地鳴りと巨大な波を見た子どもたちは、列はバラバラになり泣き出す子もいるなか更に高いところへとそれぞれに逃げたそうです。逃げる途中津波に追いつかれそうになって、裏山に逃げた中学生もいた事も知りました。
背後に迫った津波からまさに間一髪必死で逃げる子どもたちの様子が、ありありと伝わってきました。

  『みんなを守るいのちの授業』  片田敏孝・NHK取材班 著 NHK出版

ボケとツッコミ

2012/01/27

当園では、3・4・5歳児が1つのランチルームで一緒に昼食をとっていますが、食事が終わるとその日の掃除当番の子どもたちが、テーブルを拭いて足を折りたたんで片付け、床に落ちたごみなどを小さな箒で掃いてから、ぞうきんがけをしています。

先日、園で昼食をとったあと、自分のデスクで事務仕事をしていると、子どもたち何人かと保育士が話をしているのが聞こえてきました。その日掃除当番だった5歳児のSくんが、パソコンで文書を作成していた保育士に何かを言っています。どうやら掃除当番の他のメンバーが、掃除をしないのでどうしようと保育士に相談しているようです。

Sくん:   「せんせー!みんな、そうじしてくれへん!!」

保育士:  「それは困ったなー! どうしたらええかなー?」

Sくん:   「せんせーが エアコンで調べたらええやん!」

Eちゃん   「なんでやねん! パソコンやろ!」

その場にいたみんなは大爆笑!思わず私も声を上げて笑ってしまいました。まさに漫才のボケとツッコミです。子どもも大人もいつもこんな会話をしているのではありません。念のため。(似たようなノリで過ごしているかもしれませんが…)
話すテンポといい、ツッコミのタイミングといい、あまりにも絶妙でおもしろかったので、しばらく笑いがとまりませんでした。

先日、東京で行われた研修に参加した当園の職員が、研修後の意見交換会で自己紹介をしたら、本人はウケをねらったわけではなく普通に話したにもかかわらず、「さすが関西人」と笑いをとったそうです。職員が順に、自分の名前と何かひとことを言って自己紹介をしていたのに、最後の職員だけが自分の名前だけ言ってマイクを置いたのに聞いていた人は、間をはずされて、それが笑いに繋がったようです。

このように一定のリズムで続いてきた中に突然違うリズムが現れることによって間が崩れ、間が崩れることによって笑いが生まれる。同質の中に突然異質が現れ、それが戸惑いを生み出し、その戸惑いを乗り越え、異なる2つがお互いの特性を活かし合いながら結びついたところに笑いが創造される。このような笑いは、クリエイティビティだという説を読んだことがあります。
先の子どもの例でいえば、ボケとツッコミという異なるものが出会い、一瞬の戸惑いを経て、笑いが創造される。ということなのでしょう。

2つの異なるものが、対立しあっていている状態では平行線のままで、新しいものは何も生まれないいのです。異なるものが対立し続けるのではなく、何かの転換を経ることによって、異なる2つがお互いの特性を活かし合いながら結びついて新しい価値を生み出すのです。
異質を排除するのではなく、違いを認め活かすことによってこそ新しいものが生まれるのです。自分の考えと異なるから、やり方が異なるから、と排除するのではなく、新しい価値を創造するために、結びつくことができると良いと思います。

これからも笑いの絶えない園でありつづけたいものです。

自然との関わり

2012/01/26

今朝はとても冷え込み、氷点下5度近くまで気温が下がりました。天気予報は、しきりに大雪の予報を繰り返していますが、鞍馬ではほとんど積雪はありません。そのかわり、とても寒くなっています。感覚的なものかもしれませんが、雪が降ってしまった方が寒くないと思います。大雪で大変な地方もあるでしょう。被害が出ないことを祈ります。

寒さが厳しくなると、自然の中にはいろいろな変化が見られます。
毎朝、園児たちと一緒にお参りをしているのですが、お参りが終わった後で子どもたちに「保育園に来るときに何かみつけた?」と聞くようにしています。できるだけ自然の事象に目を向けて欲しいと願うからです。

当園はとても豊かな自然環境に囲まれており、この豊かな自然環境が、言ってみれば日常です。それは、いつでも豊かな自然に触れることができるというメリットがある反面、豊かな自然環境があたりまえになり、それに慣れてしまってあまり注意を払わなくなってしまうというデメリットもあります。

いくら、豊かな自然に囲まれていても、子どもがそれを意識したり触れたりする機会が少なければ、せっかくの環境も有効に保育に活かすことはできません。逆に都会にいても、自然に意識を向けている人は、都会の自然からでもたくさんのことを学ぶことができます。子どもが環境からおもしろいと感じるきっかけを作ったり、ヒントを示したり、子どもと環境を繋ぐのも保育者の仕事なのだと思います。
子どもは何も言わなくても興味のある物や事を、自然の中から見つけ出して遊ぶので、私が質問をするのは少しお節介なのかもしれませんが、子どもの意識が少しでも自然に向けばとの思いから、子どもに質問するようにしています。

昨日も今日もとても寒かったので、氷を見つけたかどうか聞いてみると、ほとんどの子がどこかで見つけているようです。つららができていたとか、水たまりに氷が張っていて踏んだら割れた。などといっていました。
お参りの後はみんな散歩に行っていったようで、昨日の散歩から帰ってきた3歳児は、帰ってきて一番に氷を見つけて遊んだことを報告してくれていました。今日、散歩に出かけた4・5歳児は、どこで見つけたのか大きな氷を持って帰ってきていました。私は出かけなくてはならず、4・5歳児の話しをゆっくり聞くことができなかったのが、残念です。
自然に心を向け、五感で触れて、たくさんのことを感じながら、育って欲しいと願います。

ひみつきち

2012/01/25

子どもたちが、自分で何をして遊ぶかを決め、それを選んで遊ぶ。子どもたちが主体的に決めて、活動できる。当園では、できるだけそんな環境を整えるようにしています。子どもは自ら環境に関わることによって学ぶからです。
保育室には、パズル、積み木、絵本など遊びの素材を用意した場所を設けています。部屋が広ければ、制作コーナー、パズルコーナーなど、ある程度専用のスペースを設けることができるのですが、あまり広くない当園ではそれは難しいのです。ですから、ままごとコーナー以外は遊びの素材をそれぞれの場所に置いていて、子どもたちは自分の遊びたいものを選び、保育室に持って来て自由に遊んでいます。レールをつなげて汽車を走らせている子どもたちと、積み木を積んだり並べたりしていた子どもたちが汽車が走る町を一緒に作るなど、2つの遊びが融合して新たな展開を見せることがあります。そんなときは既成概念にとらわれない子どもたちの発想に感心させられます。
ただ、十分な遊びの材料が用意できないので、興味のある遊びがなくって、走り回ってしまったりすることもあります。そんな様子が気になったのか、保育士たちが、外で思いっきり身体を動かす選択肢も用意した方が良いなどと相談していました。
室内の遊びの素材を置いている一角に5歳児の子どもたちが「ひみつきち」ができました。11月にお昼寝がなくなった5歳児たちが、午後の保育で作ったものをそこに置いたようです。私もちょうど、子どもたちが入り込めるような小さなスペースがあると良いと思っていたところなので、ぴったりです。
今朝、ひみつきちの入口の障子(これは本物)が閉じていて何人かの子どもが中でごそごそしていました。たまたま私がその前を通りかかったときに障子が開いて5歳児の女の子が何人か出てきて、「先生くじ引きして」といって箱を差し出します。自分たちで作ったのでしょう、中にはカラフルなくじがたくさん入っていて、ひとつ引きました。何があたるのかと思っていたら、「パイナップルです」といって別の箱から折り紙で作ったフルーツのアイスクリームを取り出してくれました。どうやら、ひみつきちではこれを作っていたようです。
箱に詰まったいろいろな色のアイスクリームが、まるで花束のようでとても美しかったので、昼食後に写真を撮らせてもらおうと、そのときいた女の子に頼んだら、ひみつきちの中を見せてくれました。アイスクリームは段ボールで作った冷蔵庫から、くじ引きのくじは戸棚から取り出してくれました。他にも扇風機があったり、エアコンがあったり、天井には夜空の星が描かれていたりと、とても楽しい空間になっていました。入口には「こわさないで」「ものをうごかさないで」などの注意書が貼ってありました。大切にしている様子が伝わってきます。

くじ引きのくじ(左)とフルーツアイスクリーム(右)

「    こわさないでね」

扇風機とエアコン(リモコンも)

   

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