経塚巡拝というお寺の行事がありました。経塚とは、写経を埋納した場所です。鞍馬山や周りの山々の尾根をはじめとした山の中に17箇所の経塚が有り、一カ所ずつお参りして巡ります。
そもそもなぜ経典を埋納したのでしょうか。書写した経典を後世に伝えるために経典を経筒に入れるなどして、埋めることです。平安時代に末法思想が流行し末法の世まで経典を残したいという理由と、お釈迦様の入滅後56億7千万年後に弥勒菩薩が弥勒仏となってこの世に出現して説法してくださるときに埋納した経巻が出現すると信じられていたこと等の理由から埋経が行われるようになりました。
鞍馬山を取り巻くように築かれた経塚には、お寺を守る役割があったのではないかとする説もあるそうです。
朝9時に山門を出発し全行程、平面距離にして約12キロ、上り下りを加えると。18キロ近くを丸1日かけて歩きます。お寺の参道であったり、自動車の通る鞍馬街道だったり、道なき道をよじ登るようなところもあり、ハイキングコースになっている歩きやすいところもあり、一歩間違えば、かなり危険なことになりそうなところもあり、様々な道を歩きます。今年は鞍馬の方々のご尽力で、新しい道が開拓され、ずいぶんと時間的体力的に楽になりました。
朝から快晴のとても良いお天気で、朝は寒いくらいの気温でした。日差しと共に少しずつ気温が上がって、頑張って歩くと汗ばみますが、少し立ち止まって休憩していると、とてもさわやかな、ひんやりとした空気の流れが感じられました。山の中を歩いていると、木漏れ日が緑色に染まっている気がして、ふと上を見上げると、真っ青な空に日の光を透かした若葉の緑が輝き、美しいことこの上ありませんでした。
帰ってきて、少し足は痛みますが、心地よい疲れを味わうことができる、とてもステキな一日になりました。